久しぶり、かつ、年明け初の記事ですが、今日は長いですよ~(^-^;)
フィンランド(ユーロ圏)で、ベーシックインカムの導入が検討されているようで、注目している方もいるようです。
ベーシックインカムとは、ざっくり言えば国民全体(または、低所得者層)に平等にお金を渡す(所得を再分配する)仕組みのことです。
フィンランドの検討内容は、全ての市民に毎月800ユーロを渡すということのようです。推測に過ぎませんが、フィンランドの1ユーロの感覚が日本の100円くらいとすると、800ユーロは日本の8万円くらいの感覚でしょうか(あえて為替レートは使っていません)。しかし、共通通貨ユーロはフィンランドで自由に発行できないので、やったところで続けられなくなるでしょう。ところで「国民」じゃなく「市民」って言ってるのは、まさか外国人も含むんですかね。
日本でもベーシックインカムを導入したらいいという声があります。が、止めておくべきです。少なくとも、推進派は意見の変更もあるとした上で、シミュレーション、議論を深めないといけません。
ベーシックインカムをネットで検索すると、メリット、デメリットばかり並べられていますが、そもそもなぜベーシックインカムが必要なのでしょうか?具体的に何の対策なのでしょうか?
現在語られているベーシックインカムは、特定の問題への対策というより、思想なんですよね。新自由主義の合理性による不公平を社会主義的に補う思想であると、僕はとらえています。かなりざっくり言うと、「経済はグローバルな自由競争こそが正義(でも、負けてもすぐに次の仕事に就ける)。それで生きていけない弱者は平等を求めるから、所得の多い人のお金を一部渡そう。非効率な政府が色々と口出しする社会は自由競争の邪魔になるので、政府はなるべく介入しないよう、シンプルに、国民全てに同じ金額を渡そう。」という考え方です。
そうは言っても、ベーシックインカムってすごくない?と思ってる方のほとんどは、対策とか新自由主義とか社会主義とか意識せず、「お金」「単純」「平等」に注目しているでしょう。でも、その裏にある思想は、このように前提がおかしいんです。
日本でもベーシックインカムを導入しようという思想は、現在、問題視できる部分への対策とも考えられます。
一つは、社会保障の、議論を積み重ねてできたことによる「複雑さ」を問題として、単純化してしまえという対策です。しかし、社会保障を必要とする人は、それこそ多様で複雑です。簡単に単純化できるものじゃあないですよね。
僕は、複雑でも適切な社会保障を受けられる方が、単純で適切な社会保障を受けられないより良いと思うのですが、ベーシックインカム推進派はこの辺りをあまり考慮しないか、楽観的です。その程度の考えで実施したなら、国民が適切な社会保障を受けることはできないでしょう。
もう一つ、景気対策、景気の安定という対策です。日銀に通貨発行権があるので、国民全体にお金を配ることは可能です。カネは日銀が刷ればいいのだから、国内においてはカネの問題はありません(※)。まぁ、財務省がその事実を認めることはしませんが。
で、ベーシックインカム推進派の一部は、お金をもらうことで、働かない人が増えることを認めていますが、働かない人が増えるような景気対策でいいんでしょうかね。全体的に労働意欲が低下することの影響も検討しないといけません。
国民がベーシックインカムを受け取ることにより、全体的に労働意欲が減退する場合、日本全体の供給能力は低下してしまいます。じゃあ機械化、自動化すればいいといった思い付きレベルの考えは、この供給能力の低下を考慮していません。機械を作れなくなっていくのに機械化などできません。じゃあ外国から買えばいいといった考えも、やはり思い付きレベルです。外国への依存度を高めるほど外交力は弱まり、日本の様々な安全保障も保たれなくなります。
ベーシックインカム推進派には、もっと広くもっと深く、様々な検討をしてもらう必要があるのではないでしょうか?
なお、デフレ下の景気対策には、GDPにならない「所得の再分配」ではなく、GDPになる「政府による公共投資の拡大」という方法があり、自然災害大国の日本には、ベーシックインカムの導入に関わらずこれが必要なのです。しかし、残念なことにそのお金の使い方を(必要であるにもかかわらず)不平等だと主張するマスコミと、それに誘導された国民が「政府は無駄な金を使うな」と制限した結果、景気も回復しないし、トンネルの壁も崩落、鬼怒川も大雨で決壊となる訳です。
ここにお金を使えば、防災安全保障や流通安全保障を強靭化できて、政府の財政出動により国民の所得が増えて、増えた所得が新たな消費、(実体経済への)投資を生み、それにより国民の所得が増えて、増えた所得が新たな…という「好景気」を生めるのです。
しかし、それを邪魔しているのが現代の経済学の主流派の思想です。「経済はグローバルな自由競争こそが正義(でも、負けてもすぐに次の仕事に就ける)。非効率な政府が色々と口出しする社会は自由競争の邪魔になるので、政府はなるべく介入しないことが望ましい。」という思想なんです。もう無茶苦茶ですよ。
※ ここでは解説しませんが、「んなアホな」と思う方は、「消費・投資、支出、所得」「通貨発行の仕組み」「自国通貨建て国債」「マネタリーベース」「マネーストック」「アクティブマネー」「日本全体のバランスシート」「経常収支」辺りが理解できると、完璧に理解できます。