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あい♥のブログ

ポケモンとガルフレが大好きな大学生が、気ままに更新する、愛がいっぱいのブログです♥


WONDER 第一話は下のリンクからどうぞ!
「WONDER」--序。「始まりの快音


それでは、本編でーす!
☆☆☆☆☆

観戦席から、グラウンドい鋭い眼光を送っているひとりの男がいた。
名前は、利野 和也(としの かずや)。プロ野球の某在京球団のスカウトだ。
当初の目的は、勿論比嘉の視察である。
聖櫻学園に、ここまでの2試合の全ての打席で出塁している選手がいる事は知っていたが、あまり気にも止めていなかった。
ただ、観戦席で試合を見ているうちに、春賀の事が気になりはじめた。
--偶然か、それともラッキーなだけか?それにしても・・

試合は進む。省吾は序盤は好投していたものの、強豪の南陽打線に徐々に捕まり始めた。
3回の裏に1点を返され、4回には同点に追いつかれてしまった。
同点とされた直後の5回。2アウトランナー無しで、三度ひかりに打席が回ってきた。
気合い十分の比嘉に対して、ひかりはファウルで粘り続け、10球粘って四球を選んだ。
ひかりが塁に出ると、不思議な緊張がグラウンド全体に走った。


試合が行われている県営球場の傍らにある駐車場に、1台の車が止まった。
ひとりの男が車からゆっくりと降りて来て、県営球場を見上げた。
男の名は、春賀 隆(はるか たかし)。ひかりの父である。
隆は、ふと、風がざわめくのを感じた。
それと同時に、球場からは、わぁっと言う大歓声が聞こえてきた。
・・この風・・ひかりか?
隆は心の中で呟き、足早に球場に向かった。


--スタートは完璧なタイミングだ。
三塁ベース上に立つ春賀を見詰め、利野はほうっと溜息をついた。。
再三の執拗な牽制を潜り抜けての、盗塁。
二盗、そして三盗。
いずれも完璧だ。完璧過ぎると言っても良い位に。
足は・・たしかに早い。だか、ずば抜けて早いというわけではない。
春賀の盗塁は、そのタイミングの正確さだと感じた。
だが、こうまであっさり盗塁できるものなのか?それも2度。
いや、3回表の盗塁を入れれば、これで3度だ。
比嘉のモーションの癖でも見抜いたのか・・?
それにしても・・。

マウンド上で比嘉は明らかに動揺していた。
-- 何故だ!
自分のモーションは、そんなに盗まれやすいのか・・?
自分の投球を嘲笑うかの様な春賀のバッティング。そして、立て続けの盗塁・・。
過去に、ここまでコケにされた記憶はないっ!
「くっ!」
比嘉は苛立ちを隠せないまま、セットポジションから打者に球を投じた。
その、動揺から投じられた球は・・吸い込まれる様にど真ん中に入って行った・・。


宮里は興奮を通りこして顔を真っ赤に紅潮させ、ダイヤモンドを回る大輔の姿を見詰めていた。
選手達の名前を大声で叫び続け、声はもう擦れはじめていた。
聖櫻学園の応援席全体が、狂喜の嵐に包まれていた。
悠々とダイヤモンドを回って、ホームベースを踏む。
この回、ひかりの三盗の後に2番打者がタイムリーヒットを放ち、3番の省吾もヒットで続き、4番の大輔が外野スタンドまで打球を飛ばした。
スリーランホームラン。スコアはこれで7対3と、再び聖櫻学園が大きくリードしていた。

5回表。2アウトランナー無しからの4失点。
比嘉はマウンド上で悪夢を見ているかの様に、呆然としていた。
ベンチから、監督の安仁屋が青ざめた顔でマウンドに向かった。
投手交代。
数人のプロのスカウトが見守る中で、比嘉は過去に記憶の無い最悪の内容で崩れてしまった。
静まり返る南陽高校の応援席とは対象的に、聖櫻学園の応援席は湧きあがっていた。

その後、省吾は2点を返されたものの5失点と踏ん張って、最終的には7対5で聖櫻学園が勝利した。
ひかりは7回には安打を放ったものの、塁上に走者が居たため盗塁はならず、その後打席は回ってこなかった。
狂喜乱舞の聖櫻学園の応援席とは裏腹に、南陽高校の応援席では涙する女子生徒もいた。
大番狂わせ。ここで、南陽が、エース比嘉を擁する南陽が敗退するとは。

「春賀光・・か。」
観戦席で利野は春賀を見詰めて呟いた。
実に面白い選手だ。これは逸材なのか・・。

グラウンド上では風が凪ぎ、蒸し暑さが渦巻いている。
大輔が、省吾が、監督の長谷が、喜びを爆発させている、その中心にひかりが居た。
喜びに包まれる選手を、聖櫻学園の応援席の最上段に佇んで見守る男が居た。
ひかりの父親の隆である。
--おめでとう、ひかり。だが・・
ひかりを見詰める隆の眼差しは、何故か、険しかった。

「WONDER」-10。「風(フローラ)」に続く。

☆☆☆☆☆

WONDERはここまでが序盤。物語はまだまだ続きます。
次の WONDER-10「風(フローラ)」では、ひかりの力の秘密に触れます。

ここまではほとんど一気に書いてしまいました。
ストーリーのイメージはこの先、かなりのところまで出来ていますが、
WONDER-10、WONDER-11 の構成について、ちょっと悩んで何度か書き直しています。
なので、少し更新が開いちゃうかもしれないです。
でも、待ってて下さいねっ!

~あい