理鶯君の話には、私が見たものとシンクロニシティがある。
当院にも救急外来があってね、私もたまたまその夜当直として、残ることになった。小さい病院だが、おかげさまで患者さんには満足していただいている。
ある日、入間君から切羽詰まった声で、スマホに電話がかかってきてね、「理鶯が高熱を出したから、先生に診て欲しい。今向かっています」と言うものだから私も急いで準備をして、受け入れる体制を整えた。
搬送されたとき、理鶯君は頭を抱えて苦しそうに、まさに虫の息だった。
高熱と頭痛、痙攣なども見受けられたのですぐに髄液検査を行った。やはり、ウイルス性髄膜炎でね、このまま入院させようということになったんだよ。
手続きは銃兎君が全部済ませてくれて、処置が落ち着いたのを見計らって、「あとはお願いします」と帰って行った。覆面パトカーで(笑)。
免疫抑制剤と痙攣どめを投与して、理鶯君がすうすうと寝息をたてて眠るようになったので、私も一安心して、ナースに任せて仮眠をとった。
翌朝、「神宮司先生、困ります」と、師長から注意を受けた。
覆面パトカーがいけなかったのかな?と訊くと、深夜にご家族でない方のお見舞いは、お断りしているはずですと答えられた。
でも、銃兎君は処置が終わった段階で車に乗ってヨコハマに戻ったはずだが、と思って、どんな姿の方でしたか?と師長に訊ねた。銃兎君なら「細身のスーツに髪型は七三」と歌詞にあるからね。
師長は、私の問いに、こう答えてくれた。
和装で、羽織り袴の若い男性。
なんだか生気がなく、青白い顔をして廊下を、すべるようにして歩いていたと。
目が合うと、ふっと、消えるような微笑みを浮かべていたと。
銃兎君、左馬刻君ではないことは確かだ。
私の話はこれで以上、夢野君・・・・・・いや、きみは、誰なんだ?