急成長を遂げているここベトナム。1986年のドイモイ政策以降、多くの外資系企業がベトナムに進出し、多くの雇用を生み出しています。その中でベトナムに進出している日系企業数は約1,500社、滞在する日本人の数は約15,000人と言われております。しかしながら、現地のベトナム人との働き方に頭を抱えられている日本人が多いのもまた事実です。

今回は日本の文化や国民性を理解しているHanhさんと対談を行い、ベトナム人の視点からベトナム人と効果的に働くために意識すべきことについてまとめました。

 

 

【文化・慣習・国民性の観点から】:道徳の授業に答えが用意されている!?

新田:早速だけど、普段の生活において日本と比べて「ここは違う」と感じるところはある?

 

Hanhさん:マナーや規律を守ることに対する意識の低さは、日本人と比べて一番違いを感じる。日本では小さい頃から家庭や学校で教えられるでしょ?ベトナムにはまだそういった教育が弱い気がする。

 

新田:ベトナムに来てから一番考えさせられたのは、大半の日本人はなぜマナーや規律を守ることができるのかということ。個人的には「道徳の授業」が大きかったと思う。道徳の授業の中で、相手の立場に立って考え、その本質を理解する機会をたくさん与えられたことが良かった。そのおかげで、物事に対する“考え方”が磨かれた気がする。ベトナムでは道徳の授業がないって聞いたけどそうなの?

 

Hanhさん:いや、あるよ。でも日本のやり方とは全く違う。日本ではグループディスカッションした後に個人・グループの意見を発表すると思うけど、ベトナムでは答えが用意されていて、それを暗記してテストをする。

 

新田:道徳のテストって斬新だね!(笑)

 

Hanhさん:あとベトナム人はよくゴミをポイ捨てするけど、これは学校ではいけないことだと教えているけど、家庭では教えられないところが多い。私たちの親の世代はベトナム戦争を体験していて、終戦したのが1975年でゴミ箱なんてその当時存在しない。だから、ゴミ箱にゴミを捨てるという意識が低いのはそういった理由が大きい。

 

新田:なるほど。“考え方”(意識も含めて)は小さい頃の家庭環境や教育に大きく影響を受けるから、ある意味仕方がないことかも。ところで、ベトナムでも家庭のことは基本的に女性がやっていると思うんだけど、一方で仕事でも活躍するベトナム人女性は多いよね?

 

Hanhさん:そうだね。ベトナム人女性は強いから!戦時中、夫が戦場にいる間、家事や子育てはもちろん、生産活動も妻の役割だったからね。そういった背景があって、家庭のこともこなしながら仕事をする女性は良い女性だとベトナムでは言われている。

 

新田:そうなんだ。すぐに思いつくだけでも、乳製品メーカーのビナミルクやTHミルク、格安航空ベトジェットエア、宝飾品メーカーPNJなど、多くのベトナム人女性社長が活躍しているよね!

 

【仕事の観点から】品質を向上せよ!

新田:個人的には仕事におけるベトナム人の強みは、“知識欲が旺盛なこと”と“逆境に強いこと”だと思う。知識欲の点で言えば、終業後にスクールに通って勉強したり、従業員研修で積極的に参加する人が多い。逆境に強いという点で言えば、例えば納期に間に合わないかもと半ば諦めかけているときに、いつもには見られない超真剣な表情で周りと協力しながら何とか成し遂げてしまうことがあり、度々驚かされる。
 
Hanhさん:確かにそうかもしれない。
 
新田:逆に、改善の余地があるのは品質の部分。例えば、身近な事例としてベトナム人がレポートを作成後、自分に送る前に再度内容に誤りがないか確認せずに送ってくることが多々あるんだけど、その結果何回も同じことを繰り返し指摘することがある。
 
Hanhさん:それは2つの問題があると思ってて、1つは“自分の仕事に自信を持っていること”。もう1つは“責任感が足りないこと”。
 
新田:たぶん、その意識を変えるためには強烈な失敗体験をしないと改善されないと思っている。自分がよくやるのは、あえてフィードバックせずに失敗させる。もちろん、会社への影響度が小さい範囲で。そうすることで、ようやく反省し少しずつ改善の意識を持ってくれる。その他にベトナム人の改善点はある?
 
Hanhさん:あとは・・・

・仕事の指示や業務の内容で分からないところがあったら、聞くこと

→ 思い込みや、「これで良いだろう」と勝手に判断しないで、ちゃんと確認すべき。

・納期に対する意識

→ 納期を意識した上で、フィードバックや修正などにかかる時間も想定すべき。

・積極的な報連相

→ 面倒くさいと思ったり、嫌がる人もいるが、関係者に迷惑をかけないために必要。

ベトナム人と日本人がお互いに歩み寄ることが成功への第一歩

 

Hanhさん:ベトナム人とうまく仕事するためには、日本人が改善すべきところもあると思っている。全員が全員ではないけど、個人的に日本人に直してほしいところは“ベトナム人を見下す”こと。

 

新田:その点は普段、自分の言動において特に気をつけているけど無意識のうちにそういう印象を与えてしまっているかもしれない。日本人を代表して謝ります。

 

Hanhさん:ベトナム人と日本人のどっちが偉いかなんてないと思う。確かに多くの日本企業がベトナムに進出したおかげで雇用が創出され、経済も成長している。けど、実際に現場で動いているのは私たちベトナム人。そういった意味ではおたがいさまだよね。

 

新田:仰るとおり。どっちかがどっちかに合わせるのは、いつか軋轢が生じる。それは過去の歴史を見れば明らか。

 

Hanhさん:見下していることがよく分かる事例としては、ベトナムやベトナム人の悪口をよく言うこと。それは止めてほしい。海外で生活・仕事するということは、これまでの慣れた環境ではないので、ストレスは溜まると思う。でも、そのストレスの発散で悪口を言うのは間違っていると思う。悪口を言ったところで、何も解決されないし、むしろベトナムやベトナム人との関係を悪化させるだけだと思う。

 

新田:全くその通りだね。ちなみに日本で仕事をしたことがあるHanhさんから、異国の地でストレスを溜めないためには、どうすればよいか何か提案ある?

 

Hanhさん:やっぱり、違いを楽しむことじゃないかな!ベトナム南部は四季がなかったり、空気が悪かったり、良くないとこもあるけど、逆に日本にはない良いところもたくさんあると思う。物価は安いし、人は親切だし、ベトナム料理も美味しいでしょ?海外で生活・仕事することは、人生においてとても貴重な経験になると思うから、全てをポジティブに捉えて満喫することが大切だと思う!

 

新田:個人的にはベトナム人の友達をつくることをオススメしたい!ベトナム人とうまく仕事ができない人は上辺だけの付き合いで、ベトナム人の本質を理解していないと思っている。友達になって仲良くなれば、また違った一面が見えてくると思うし、ベトナムやベトナム人のこともきっと好きになると思う。

 

新田:最後に読者へ何かメッセージください!

 

Hanhさん:さっきも言ったように、ベトナム人は日本から多くの仕事のチャンスをもらっていることに感謝する一方で、日本人もベトナム人のことは見下さず感謝の気持ちを持って接してほしい。やっぱり、“お互いに歩み寄る”ことが、成功への第一歩だと思う!あと、これは余談だけど、ベトナム人の女性はみんながみんなお金目当てで外国人と接しているわけではないからね!私の周りの日本人の多くは勘違いしているようなので、これだけは言っておきたかった。確かにそういう人もいるかもしれないけど、大半のベトナム人女性は自分の足で立とうと頑張っているから!

【インタビューを終えて一言】

大学の元日本語教師ということもあって“人を育ていることが好き”と言うHanhさん。豊富な経験や立派な“考え方”をお持ちで、将来こういった方がベトナム人の若者の“考え方”を磨くサポートをしてもらいたいと思いました。一方、ベトナムに進出している日本企業や日本人は、ベトナム国やベトナム人に興味・関心を持った上で、ベトナム人の“考え方”を磨くサポートをすることも役割の1つであるのではないかと考えさせられました。

Hanhさん!インタビューありがとうございました!!

 

Thank you for reading through,

see you next time.