佐々木先生によって、
千鳥の元に連れられてきた柾鷹は黙っている。
柾鷹(・・・何なんだよ一体・・・近付くんじゃなかった・・・)
人との交流がまだ苦手な柾鷹は後悔していた。
初対面の人なら尚更だからである・・・。
千鳥「佐々木先生、その子は?」
佐々木先生「・・・この子はあたしが副担任しているクラスの生徒なの。」
千鳥「副担任!?保健室の先生は辞めちゃったんですか?」
佐々木先生「いいえ。特別に両方を兼任させてもらってるの・・・。
頼まれたから・・・。」
千鳥「そう、だったんですか。」
千鳥は柾鷹をそっちのけで、佐々木先生の事情に興味津々だ。
柾鷹(・・・俺・・・来た意味あるのか・・・)
すると・・・。
千鳥「ねぇ、あなた名前は?」
千鳥が柾鷹に話しかけた。
柾鷹「え?滝雄・・・です。」
千鳥「そう。見たトコ中学3年ぐらい?」
柾鷹「はい。」
千鳥「そっか・・・。」
柾鷹と千鳥はお互いに目を合わせながら喋っている。
柾鷹(・・・なんか・・・)
千鳥(・・・不思議な感じ・・・)
会話は止まり、お互いに何か思っていた。
すると佐々木先生が話し始めた。
佐々木先生「・・・稲葉さん。この滝雄くん・・・。
あなたと似たような感じがある子なの・・・。」
千鳥「え?それって・・・。」
佐々木先生「・・・。」
佐々木先生は黙って頷(うなず)いた。
千鳥(・・・この子・・・も?・・・)
柾鷹「??」
柾鷹は話の内容はあまり理解できていなかった。
そして柾鷹が佐々木先生に問いかける。
柾鷹「あの、俺と・・・この人が似てるって何の事ですか?」
佐々木先生「・・・。」
千鳥「あなた気付いて・・・。」
佐々木先生「稲葉さん。」
佐々木先生は千鳥に話しかけ、話の流れを止めた。
佐々木先生「・・・滝雄くん。最近は大丈夫なの?」
柾鷹「え?あ、は、はい。そんなに激しく胸が痛むこともないですし。
今は落ち着いてます。」
佐々木先生「そう、それならよかった・・・。」
千鳥(・・・胸が痛む?・・・)
千鳥は疑問に感じながらも、時間は過ぎていく・・・。
そして、佐々木先生は腕につけていた時計を見る。
佐々木先生「・・・滝雄くん。もうそろそろ集合時間だから・・・。」
柾鷹「あ、はい。じゃあ戻ります。」
柾鷹は戻ろうとする。
千鳥「待って!」
柾鷹「!」
千鳥「また・・・どこかで会えたらあたしが・・・。」
柾鷹「??・・・稲葉さんでしたよね?」
千鳥「ええ。あたしの名前は稲葉千鳥。覚えておいて。」
柾鷹「わかりました・・・。俺は・・・滝雄柾鷹です。」
そう言い合い終えると、柾鷹は集合場所に戻って行った。
佐々木先生「・・・最後に自己紹介なのね・・・。」
佐々木先生は少しだけ笑った。
千鳥「あ!佐々木先生の笑顔って初めて見たかも・・・。」
千鳥は笑った。
千鳥「でも佐々木先生。さっき何で止めたんですか?」
佐々木先生「・・・彼はまだ知らないはずなの。
無闇に気にさせることもよくないわ。」
千鳥「そう、だったんですか。」
佐々木先生「それに、稲葉さんとは少し状況も違うの・・・。」
千鳥「え?」
佐々木先生「彼に別の感覚が出てくるようになったのは
ごく最近の事なの・・・。
稲葉さんみたいに、小さい頃から出ていた・・・。
とは違う感覚なの・・・。」
千鳥「まだ、中学3年ですもんね・・・。
でもあの子とあたし・・・似ている気がします。」
佐々木先生「・・・。」
千鳥「じゃあ佐々木先生。あたしもそろそろ帰ります。
親も心配してると思うし・・・。」
佐々木先生「そうね・・・。あたしも戻らなきゃいけないから・・・。」
そして2人はその場を立ち去ろうとした。
佐々木先生「・・・いいかげん出てきていいわよ。」
千鳥「え?何がですか?」
佐々木先生「・・・砂森さん。」
すると堤防のすぐ下に止めてあったトラックの横から
エミリーが姿を見せた。