こんにちは、値上げの専門家(中小企業診断士)の伊丹芳則です。
多くの人が、「決断」を苦手と感じています。
その理由の一つとして、「決断と判断の違い」を理解していないからです。
この「決断と判断」は、何かを決めるという点では同じように思います。
しかし、それぞれを詳しく見て行くと、全く違う内容になるのです。
では、「決断と判断の違い」とは、一体何でしょうか?
まずは、「判断」から見てみましょう。
「判断」とは、主に過去の事実を評価して決めることです。
この意味は、過去に存在する事例を基準に評価して決めることになります。
だから、「なぜ、そのように判断したのですか?」と問い掛ければ、「なぜなら、こんな理由があるからです」と、具体的な事例を挙げて説明することができるのです。
一方、「決断」とは、未来の方向を解釈して決めることと言えます。
この意味は、過去の事例を参照するのでなく、これから起こる可能性の事象に対して決めることなのです。
だから、「なぜ、そのように決断したのですか?」と問い掛けると、自分自身の直観や信念に基づいて答えることでしょう。
具体的な理由は、その後に伝えますが、大抵は後付けの理由になります。
では、この「決断と判断」をどのように使い分ければいいのでしょうか?
例えば、今、多くのお店で行われている、「値上げ」の例で考えてみましょう。
「値上げ」には、「決断と判断」が必要になります。
「値上げ」を決める上で、重要なポイントは、次の3つです。
◆「いつ値上げするのか?」
◆「どれだけ値上げするのか?」
◆「誰が値上げを決めるのか?」
まず、「いつ」という値上げのタイミングを決めるには、未来を見据えて「決断する」必要があります。
一方、「どれだけ」という値上げの程度は、過去の事例や周辺の状況などを見て、事実に基づいて「判断する」必要があるのです。
さらに、「誰が」という決定者については、「いつ」のタイミングを決める「決断」は、社長さんの役割になります。
しかし、「どれだけ」の程度を「判断」するのは、現場のスタッフさんの役割とすることが理想です。
もちろん、前例がないような大幅な値上げが必要な場合は、社長さんの「決断」が求められます。
このように、「決断と判断」の意味を理解し使い分けることで、物事をスムーズに進めることが可能です。
そのためには、「いつ、どれだけ、誰が」の3つの視点を持つことが重要になります。
それと、「決断の壁を乗り越える」ことです。
「決断の壁」とは、「失敗への恐怖」になります。
「決断」は前例のないことなので、失敗が起こりやすいため、それが恐怖になるのです。
それでも、次のように考えれば、恐怖は少し和らぐでしょう。
それは、「失敗とは、やってみなければ分からない情報や不足している情報を集める活動である」と割り切るのです。
そうすると、「決断」がやりやすくなります。
次に「決断」を迫られた時に、この記事を思い出してみてください。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
伊丹芳則