こんにちは、値上げの専門家(中小企業診断士)の伊丹芳則です。
社長さんに、『今月の目標は?』と聞けば、多くの方が『昨年同月の売上げ』と答えられます。
理由は、季節による需要の変動を受けずに、毎月簡単に決められるからです。
この背景には、『売上げさえ上がっていれば、何とかなる』という売上げ重視の考え方があります。
確かに、この考え方は客数が増えている時は、とても大切なことです。
しかし、どちらか言うと客数が減っている今は、売上げ重視の考え方ではリスクが多くなります。
何がリスクかと言うと、売上げを重視するあまり、多少利益を落としても、売上げを増やそうとするところです。
これをすると売上げは増えますが、ただ忙しいだけで利益が思っているほど残らなく、資金繰りがだんだん苦しくなって来ます。
規模の大小によって変わますが、もしも小規模企業であれば、まずは『社長さんの給料』を重視することがおすすめです。
例えば、仮に『社長さんの給料』を、『月100万円』とします。
そうすれば、その社長さんの給料を支払うために、『いくらの粗利益が必要なのか?』をハッキリさせるのです。
例えば、月の『粗利益300万円』あれば、『社長さんの給料』を、『月100万円』支払えるとします。
これが分かれば、『粗利益300万円』を、月の目標にすればいいのです。
そして、『粗利益300万円』を稼ぐためには、『いくらの売上げが必要なのか?』を計算します。
これは、原価率が分かっていれば、粗利率も分かるので、概算ですぐに出るはずです。
このようにすると、『粗利益300万円を稼ぐための売上げの目標』を持つことができます。
これが、利益重視の考え方です。
どうでしょうか?
このように考えて行くと、多少利益を落としても、売上げを増やそうとはなりません。
なぜなら、そんなことをして売上げを上げても、粗利益が増えなければ意味がないからです。
但し、この話は大規模企業では成り立ちません。
大規模企業は、それなりの組織を作って売上げを上げます。
組織を作るには、沢山の社員さんが必要ですし、その社員さんが働く職場スペースも確保しなければいけないのです。
そこには、その他にもかなりのコストがかかります。
小規模企業のように、『社長さんの給料』を支払える粗利益を稼ぐだけでは済まないのです。
逆に言えば、このことは小規模企業の方が身軽でフットワークが良いという利点になります。
利点を生かすのも、社長さんの仕事です。
どうでしょうか?
どうのように考えるかは、社長さん次第です。
しかし、もしも売上げ重視の考え方で資金繰りに困っていたら、思い切って利益重視の考え方に変えてみませんか?
意外と目の前の壁を打ち破れるかもしれませんよ!
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
伊丹芳則