こんにちは、値上げの専門家(中小企業診断士)の伊丹芳則です。
業績が苦しくなって来ると、『割引き頼みの販促をするお店』が多いです。
では、なぜ、『割引き頼みの販促をする』のでしょうか?
それは、『安ければ、お客さんがお店にやって来て、商品を買ってくれる』という錯覚が、心のどこかにあるからです。
確かに、そういうお客さんもいます。
しかし、そのようなお客さんは、他のお店が安くすれば、躊躇なくそのお店に行くのです。
つまり、『安い時だけ、それぞれのお店を使い分けるお客さん』を集めていることになります。
このような『安さに釣られてお店にやって来るお客さん』がメインのお店は、常に不安定です。
念の為に言っておくと、『割引き』が悪い訳ではありません。
『割引き』だけで、お客さんを集めようとすることが悪いのです。
それでも昔は、『安さに釣られてお店にやって来るお客さん』はいました。
しかし、今は、『必要のないものは、いくら安くても買わないお客さん』が増えているのです。
もっと言えば、お客さんにとって今は、『モノ余り』、『情報過多』の状態で、『何が必要で、何が必要でないのか』、分かりません。
だから、『今なら、〇〇円引き』と、価格だけで選ばせようとしても買えないのです。
どうでしょうか?
ここが理解できると、まずやらなければいけないことは、お客さんにとって、『今、必要なものは何か?』をハッキリさせることになります。
『自分にとって、今、必要なものが何か?』が分かると、お客さんは、『それを使うシーンや使っている時の気持ち』がイメージできるので、ワクワク感や期待感から商品を欲しいと思うのです。
強くイメージできると、そのワクワク感や期待感だけで、商品を買うお客さんも現れます。
しかし、どんなに必要なものだと分かっても、決めきれずに迷ってしまうお客さんが、多いのも事実です。
そこで、そんなお客さんの背中を押すために、『割引き特典』を付けます。
この時の『割引き』は、『集客のためや商品を欲しくさせるための割引き』ではなく、『決断させるための割引き』です。
だから、決めてもいいし、断ってもかまいせん。
違う言い方をすれば、チャンスを掴んでもいいし、チャンスを逃してもかまわないのです。
ちょっと厳しい言い方かもしれませんが、今は決断を促さないと選べないお客さんが増えています。
では、お客さんにとって、『今、必要なものは何か?』をハッキリさせるには、どうすればいいでしょうか?
そのために一番簡単な方法は、次の3つを行うことです。
(1)『現状』
◆『お客さんがイヤな気持ちになっているシーンは何か?』をハッキリ聞き取ること
(2)『将来』
◆『お客さんが本当に手に入れたいシーンや気持ちは何か?』を引き出すこと
(3)『ギャップ』
◆『現状と将来から、どんなギャップがあるのか?』を探し出し、解決策を示すこと
この3つを行うことで、『今、必要なものは何か?』に気付いてもらえます。
もしも今、いくら割引きしても、お店にやって来てもらえない、商品を買ってもらえないと感じていたら、まずは、『お客さんの現状』をハッキリ聞き取って下さい。
そして、『お客さんの将来』を引き出して下さい。
そうすると、『現状と将来から、お客さんのギャップ』が探し出せるので、その解決策としての商品を提案してみて下さい。
ここまでをしっかりやってから、『決断させるためには、どれだけの割引きが必要か?』、最後に『割引き』を考えるのです。
ワクワク感や期待感が強ければ、『割引きなし』も十分考えられます。
これが、『正しい割引きのやり方』です。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
伊丹芳則