こんにちは、値上げの専門家(中小企業診断士)の伊丹芳則です。
『商品を売る』ことに、苦手意識を持つスタッフさんが多くいます。
その理由の1つは、『正しく売る流れ』を知らないからです。
通常、『商品を売る』ことが苦手なスタッフさんは、『この商品を買って下さい』と、いきなり商品を売り込もうとします。
このような売り込みをされたお客さんは、『いいえ、結構です』と条件反射のように断るのです。
これは、ある種、本能に近い反応とも言えます。
だから、お客さんにいきなり売り込んで、こちらの『主張』だけを通そうとすると上手く行きません。
では、どうすればいいのでしょうか?
それが、先程の『正しく売る流れ』を知ることから、始めることになります。
『正しく売る流れ』とは、次の3つです。
◆(1)『対象を決める』
◆(2)『原因を言い切る』
◆(3)『しっかり主張する』
この3つになります。
つまり、『主張をする』前に、『対象を決めて、原因を言い切る』必要があるのです。
これをせずに、いいきなり『主張』してしまうと、売り込みと勘違いされてしまいます。
(1)の『対象を決める』とは、『誰に、主張するのか?』を決めることです。
そのためには、まず、お客さんに現状を聞くことから始めます。
なぜなら、ほとんどのお客さんは、何らかの問題を抱えていますが、言葉にしていないので、問題という実感がないからです。
だから、こちらが問い掛けることで、現状を話してもらい、問題を浮き彫りにする必要があります。
例えば、
◆『現状は、どんな感じですか?』
◆『最近、ちょっと気になるな~、と思うことはありますか?』
◆『それって、どんなシーンの時に、そのように感じますか?』など
ちょっとでもいいので、問題となるシーンを思い出してもらうのです。
このようなやり取りから、『誰に、主張するのか?』の『対象』が決まります。
ここがとても大切です。
ここがハッキリすると、そのお客さんだけに、ピッタリ合った商品の提案を考えることができます。
もちろん、このような問い掛けをしても、答えてもらえないお客さんもいます。
そのようなお客さんには、極端な話、商品の提案をしなければいいのです。
(2)の『原因を言い切る』とは、(1)で『問題』が浮き彫りになったとしても、『なぜ、そうなるのか?』、『その原因が、何なのか?』、気付いていません。
だから、
◆『実は、こんな原因があるために、望む結果が手にはいらないのです』と、言い切る必要があります。
この原因に気付いたお客さんは、『ああ、だから上手く行かないのか!』と、問題が解決しない理由を納得したとしましょう。
そうしたら、どんどん関心を持つようになるのです。
もちろん、こちらが『ピッタリの原因を言い切った』としても、納得しないお客さんもいます。
そんなお客さんには、この後の『主張』をしなければいいのです。
では、納得したお客さんには、どうすればいいのでしょうか?
ここで、初めて、(3)の『しっかり主張する』です。
◆『原因を解決するために、この商品を買って下さい』
ここで、このように『主張』すると、もう冒頭のような条件反射の断りは起こりません。
それどころか、『しっかり主張する』ことで、お客さんは次のステージへ行くための最初の行動ができるのです。
ここでも、どれだけ、こちらが『主張』しても、行動できないお客さんもいます。
それでも、『しっかり主張した』ことで、お客さんは決断できるのです。
『決めること』も勇気がいりますが、『断ること』もまた勇気がいります。
だから、その行動も、お客さんの自由な選択と考えて下さい。
そう考えれば、断られても、また次のお客さんに、『商品を売る』ことができます。
『商品を売る』目的の1つは、『お客さんの行動を促す』ためです。
そのためには、『正しく売る流れ』で、商品を売ってあげなければいけません。
ポイントは、『対象』×『原因』×『主張』です。
くれぐれも、いきなり『主張』することだけは、避けて下さいね。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
伊丹芳則