こんにちは、値上げの専門家(中小企業診断士)の伊丹芳則です。
法人の会社では、毎年、決算書を作られていると思います。
しかし、決算書が、『何を表しているのか?』、なかなか分かりづらいので厄介です。
『何を表しているのか?』を、とても簡単に言うと、次の2つになります。
◆(A)『どこからお金が集められているのか?』
◆(B)『どこへお金が使われているのか?』
この2つのことを、2種類の表で表しているのです。
まず、(A)の主な項目を見てみますね。
(A-1)主に銀行からの『借入金等』
(A-2)主に株主からの『出資金等』
(A-3)税金を引いた後の『利益』
この3つからお金が集められています。
また、(B)の主な項目は、
(B-1)お金に換えやすい『現預金等』
(B-2)お金に換えにくい『設備・建物等』
(B-3)お金を作り出すための『原価・経費等』
この3つへお金が使われているのです。
とは言っても、このように書けば書くほど、分かりづらくなって行くのが決算書の特徴かもしれませんね。
では、そんな決算書は誰のために作っているのでしょうか?
ヒントは、(A)の『どこからお金を集めているのか?』です。
つまり、この項目と関わりのあるところに、提出する必要があるから作っていると言ってもいいでしょう。
例えば、(A-1)の『借入金』がある場合は、銀行が提出を求めます。
理由は、あなたの会社に、『借入金の返済能力』があるかどうかを確かめるためです。
もしも、決算書の内容が悪ければ、経営改善を求めます。
しかし、これは『借入金』がある以上、仕方がないのかもしれませんね。
例えば、(A-2)の『出資金』、これは出資者である株主に、『どのようにお金が使われているのか?』、『その結果生み出された利益が、どのように配分されているのか?』を確かめるために、提出を求められます。
ところが、大抵の中小企業の会社の場合、『力のある株主=社長さん』であることが多いです。
そのため、現場を知っているので、決算書の内容は分かったつもりになって、中身を詳しく見ない傾向があります。
ただ唯一関心があるのは、『利益に対する税金』です。
社長さんは、『できれば税金は、払いたくない』という勘違いがあります。
だから、『節税という甘い誘惑』に刺激を受けやすいのです。
しかし、先程から言っているように、(A)は、『どこからお金を集めているのか?』に関係する項目なので、税金をしっかり払って、利益を残さないと、『お金を集めることができない』ことになります。
ここを忘れてついうっかり、節税のために折角の利益を使ってしまったら、すぐに資金不足になるのです。
その結果、『借入金』でその不足分を補わなければいけなくなることも多いでしょう。
例えば、(A-3)の『税金を引いた後の利益』の場合、税金の課税対象の基準を決めるために、『税務署』が提出を義務付けているのです。
このように、それぞれの目的のために、決算書は使われています。
しかし、ここが分かっていないと、決算書は、『銀行』や『税務署』のためだけに、毎年作ってしまうことになるのです。
それでは、決算書を作るためにかかる時間やコストを考えると、実にもったいない話になります。
だから、今すぐ、決算書をもっと詳しく確かめて欲しいのです。
そして、次のことをチェックして下さい。
◆(A)『どこからお金を集めているのか?』
◆(B)『どこへお金を使っているのか?』
チェックする時の方法は、次の3つです。
◆(1)『大きな数字から、昨年と比較すること』
◆(3)『どこがどれだけ増えたかを見ること』
◆(4)『どこがどれだけ減ったかを見ること』
最初は、これだけで十分です。
これをやってみて、自分が気になるところを、専門家に聞くといいでしょう。
そうすると、今まで分からなかった決算書が、だんだん分かるようになりますよ!
最後まで読んでいただいてありがとうございました。
伊丹芳則