こんにちは、値上げの専門家(中小企業診断士)の伊丹芳則です。
お店の在り方を考える時に重要なのが、『どんな客層に喜んでもらうのか?』をハッキリさせることと言えます。
なぜなら、今は、全ての客層を喜ばせようとすると、特徴のないお店になってしまうからです。
どこにでもあるお店は、お客さんにとって、何の魅力も感じてもらえません。
そうならないためには、客層選びが大切なのです。
そんな大切な客層が、今、どんどん『二極化』しています。
例えば、次の4つの客層があるとして、考えてみましょう。
◆(A)『高いモノを買う客層』
◆(B)『必要なモノは高くても買う客層』
◆(C)『必要なモノを安く買う客層』
◆(D)『安いモノを買う客層』
それぞれの客層が全体に占める割合は、大体次のような数値になります。
◆(A)『5%』
◆(B)『25%』
◆(C)『50%』
◆(D)『20%』
これらの数値はあくまで、仮説です。
時代の流れやお店の状況によって、変わっていきます。
このような客層があるとして、どこで、『二極化』のラインが引けると思いますか?
色々な考え方があるので一概には言えませんが、一番多い考え方は、(B)と(C)の間でしょう。
理由は、『二極化』の基準が、どうしても価格に引っ張られて来るからです。
『二極化』とは、簡単に言うと、中間がなく、上位と下位に分かれることを言います。
では、上位の客層(A)と(B)を(1)として、下位の客層(C)と(D)を(2)とすれば、この違いは何でしょうか?
これも色々あるでしょうが、一番の違いは、(1)の上位の客層は、『自分自身のために消費する』、(2)の下位の客層は、『自分の生活や家族の生活のために消費する』ことではないでしょうか?
(1)が『自分のため』、(2)が『生活のため』と考えれば、『二極化』する理由が分かるような気がします。
このような特徴があったとして、あなたのお店は、(1)と(2)のどちらの客層に喜んでもらいたいでしょうか?
どうでしょうか?
もしも、あなたが、『客数重視の考え方』なら、(2)の客層を選ぶでしょう。
なぜなら、(2)の客層が全体に占める割合が、70%を占めているからです。
仮に、(1)の客層を選んでしまうと、70%の客層を捨ててしまうことになります。
これは、とても勇気がいることです。
一方、もしも、あなたが、『客単価重視の考え方』なら、(1)の客層を選ぶでしょう。
なぜなら、(1)の客層の方が、明らかに高単価が狙えるからです。
仮に、(2)の客層を選んでしまうと、低単価の客層しか集まらないことになってしまいます。
しかし、全体の30%の客層を相手に考えなければいけませんので、こちらも勇気がいるでしょう。
どうでしょうか?
どちらを選んでも、一長一短がありますね。
それでも、今はどちらかを選ばなければ上手く行かないのです。
そこで、どちらかを選ぶ1つのヒントとして、お店の規模の大きさがあります。
例えば、大規模企業の場合は、やっぱり客数が大切です。
客数がなければ、規模の利益が得られません。
その場合は、(2)の客層に軸足を置くでしょう。
ところが、小規模企業が、(2)の客層に軸足を置いたとしたら、中途半端な規模にしかならないため、どんなに客数を集めても利益が出ない経営になるはずです。
なので、小規模企業の場合は、勇気を出してでも、(1)の客層を選ばなければいけません。
そのために意識しなければいけないポイントは、(1)のお客さんは、『自分のために消費していること』を、常に頭の中に入れて置くことです。
例えば、(1-B)の『必要なモノは高くても買う』というのは、『自分に必要なモノは・・・』という意味合いになります。
一方、(2-C)の『必要なモノを安く買う』というのは、『生活に必要なモノを・・・』という意味合いなのです。
ここを間違えると、(1)の客層から支持されません。
なので、支持してもらうために、『なぜ、何が、自分のためになるのか?』、しっかりお客さんの現状を聞き出し、解釈を変えて、必要性に気付かせてあげなければいけないのです。
『二極化』は、これからどんどん進んで行くことでしょう。
今、モノを買う全体の割合が、(1)の客層は30%ですが、これからどんどん増えて行くと思われます。
なぜなら、(2)の客層が、今以上にモノを買えなくなって来ると想像するからです。
これらを踏まえて、お店の在り方を一度考えて直してみて下さい。
進む方向を間違えると、どれだけ一生懸命働いても、良い結果になりませんよ。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
伊丹芳則