こんにちは、値上げの専門家(中小企業診断士)の伊丹芳則です。
伊丹十三監督の『マルサの女』を、ご存知でしょうか?
この映画の中の有名なシーンに、『コップの水』という話があります。
脱税の疑いで家宅捜索されている、すご腕社長の権藤(山崎努)と、国税局査察部、担当統括官の花村(津川雅彦)とのやり取りです。
<ここから>
◆花村(津川雅彦)
『どうしたら金が貯まるんだ』
◆権藤(山崎努)
『折角だから、教えてあげるよ』
(中略)
『あんた、今、ポタポタ落ちて来る水の下に、コップを置いて水を溜めているとするわね』
『あんた、のどが渇いたからって、まだ半分しか溜まっていないのに飲んじゃうだろう?』
『これが最低だね』
『なみなみ一杯になるまで待って、それでも飲んじゃだめだよ』
『一杯になって、溢れて、垂れて来るやつ、これを舐めて我慢するの』
『そうすれば、コップの中にある一杯の水は・・・』
ここで、所得隠しがバレるシーンに
<ここまで>
この『コップの水』の話を、『お客さんとあなた』の話に変えて、考えてみたいと思います。
仮に、『コップをお客さん』、『水をあなた』に変えたとしよう。
ちょっと変な設定ですが、ガマンして下さいね。
<ここから>
『コップであるお客さん』に、『水であるあなたの価値』を、注ぎ込むイメージです。
もしも、『あなたがお金が欲しい』と思っていたら、コップに注いだ価値を、すぐにお金に変えようとするでしょう。
これが、お金が貯まらない一番の原因です。
コップに注いだ価値を、すぐにお金に変えようとするのでなく、コップの中が一杯になるまで注ぎ続けます。
そうすると、コップの中が価値で一杯になり、『信用』に変わるのです。
この時の『信用』とは、『価値が一杯集まったもの』と言えます。
ポイントは、『コップの中が一杯になるまで手をつけないこと』です。
『お金が貯まる人』は、このことをよく理解しています。
なぜなら、お金に換えるには、『信用』が大切であると分かっているからです。
この傾向は、時間をかけて、少しずつ水を溜めるほど、『大きな信用』が得られます。
『信用』を得た後は、そこからこぼれ落ちる価値をお金に換えるのです。
そうすると、『コップの中の水』は、ずっと無くなりません。
<ここまで>
しかし、コップから水がこぼれ落ちる前に、飲んでしまえば、お金にはなりますが、『信用』が無くなるのです。
そうすると、『信用』のない状態に、逆戻りしてしまいます。
だから、お金が貯まらないのです。
これではいけないと思って、『信用』を得ようとしても、また長い時間がかかってしまいます。
どうでしょうか?
『コップの水』の話は、いろいろな状況で応用できる話です。
つまり、『コップの水』の本質が理解できると、極端な話、何をしてもお金を貯めることができます。
もしも、今、あなたがサボらず一生懸命働いているのに、お金が貯まっていないとしたら、まずは、『コップの水』を溜めることを考えてみて下さい。
あなたにとっての『ポタポタ落ちる水』は、何でしょうか?
意外と、『えっ、こんなことでいいの?』と、思うことが多いですよ。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
伊丹芳則