こんにちは、値上げの専門家(中小企業診断士)の伊丹芳則です。
できれば、『今のまま何も変えずに、売上げを上げたい』と、思っている社長さんが多くいます。
そんな社長さんに、『何か、いい方法ないですかね?』と尋ねられたら、あなたはどのように答えるでしょうか?
おそらく直感的に、『そんな上手い方法があったら苦労しない』と、思ったかもしれませんね。
ところが、実は、2つあるんです。
それが、『値上げ』と『割引き』になります。
高く売るか、安く売るかの違いはありますが、どちらも、『今のまま何も変えずにできる方法』です。
<例えば>
◆(A)『今のまま何も変えずに、定価を10%値上げする』
どうでしょうか?
ちょっと勇気と覚悟はいりますが、今のまま何も変えずに、できそうではありませんか?
また、
◆(B)『今のまま何も変えずに、定価を10%割引する』
これは、どうでしょうか?
こちらの割引きは、結構気軽にできますよね。
これも、今のまま何も変えずにできるのです。
どうでしょうか?
ここで問題は、『この値上げや割引きで、売上げが上がるのか?』です。
(A)の『値上げ』をすると、客単価が上がるので、上手く行くと売上げが上がります。
また、
(B)の『割引き』をすると、客数が増えるので、こちらも上手く行くと売上げが上がるのです。
(A)か(B)のどちらかか、あるいはその両方をすると、売上げが上がります。
このように書くと、『それなら、どんどん値上げをして、もっともっと割引きをすればいいのですか?』と、疑問に思う人がいるかもしれませんね。
そこで、この話を先ほどの社長さんに提案すると、次のように答えられることが多いです。
それは、
『いや~、そんなに値上げをしたら、お客さんが来なくなりそうで心配です』
あるいは、
『このまま割引きを続けても、だんだん反応が悪くなって、儲からなくなってしまいます』
このように答えられるでしょう。
疑問を感じているあなたも、このように思うかもしれませんね。
しかし、値上げ率にもよりますが、最初のうちは、『何も変えないまま』、値上げをしてもお客さんが来なくなることはありません。
なぜなら、ほとんどの場合、『本来の価値よりも安い価格で提供している』からです。
それでも、価格に敏感なお客さんは来なくなります。
その目安は、『値上げ率の半分が、客数の減少率』であれば、たとえお客さんが減ったとしても心配ありません。
<例えば>
値上げ率10%で、客数の減少率5%の場合です。
ちょっと計算すると、
『客単価110%×客数95%=売上げ104.5%』になるからです。
また、客数が減って、売上げが増えるということは、そこに掛かる経費が下がるので、利益は増えます。
一方の割引き率と客数の関係の目安は、『割引き率の1.5倍が、客数の増加率』になれば、割引きしても売上げは大丈夫です。
<例えば>
割引き率10%で、客数の増加率15%の場合、こちらも、ちょっと計算すると、
『客単価90%×客数115%=売上げ103.5%』です。
この場合、売上げは増えていますが、客数も増えているため、そこに掛かる経費も上がるので、利益の増減は微妙になります。
どうでしょうか?
上記のような計算式が成り立つのは、『本来の価値よりも安い価格で提供している場合』だけです。
繰り返しの『値上げ』や『割引き』を続けると、『値上げ後の価格に見合う価値』がなくなったり、『割引き後の価格に見合う価値』に魅力がなくなったりします。
これが、『客離れの一番の原因』です。
なので、当初は、『今のまま何も変えなくていい』のですが、ある時期が来ると、『何も変えないままでは、済まされない』ことになります。
そんな時は、どうすればいいのでしょうか?
そんな時は、『今までよりも価値を高める工夫や努力』が必要です。
そのためには、『すぐに、商品の品質を高めよう』と考える人がいます。
しかし、それをすると失敗することが多いでしょう。
なぜなら、『商品の品質を高める』には、時間とお金がかかるからです。
もちろん、『すぐに、商品の品質を高められるお店』は、ぜひやって下さいね。
しかし、それができないお店で、『商品の品質が一定レベル以上』であれば、他にやることがあります。
それは、次の3つです。
◆(1)『商品価値の伝え方』
◆(2)『お客さんへの接し方』
◆(3)『アフターフォローの関わり方』
これらをまず改善するのです。
これらができると、お店の価値はぐ~んと上がります。
さらに、『商品の組み合わせによる価値アップ』ができると、さらに価値は上がるでしょう。
このようにして、お店の価値が上がると、また『値上げ』や『割引き』ができます。
『値上げ率』や『割引き率』の大きさにより、具体的なやり方は違って来ますが、基本的な考え方は同じと考えて下さいね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
伊丹芳則