こんにちは、値上げの専門家(中小企業診断士)の伊丹芳則です。
お店を1人でやっている所は少なく、ほとんどが複数の人達で分業しています。
なぜなら、1人では限界があり、満足なサービスを沢山のお客さんに提供することが困難だからです。
しかし、分業により、1人では問題にならないことが、問題になることもあります。
これが、『分業の弊害』です。
分業の状態を、簡単な組織のお店で考えてみましょう。
例えば、もっとも馴染みのある肩書きで言えば、
◆(A)『社長さん』
◆(B)『店長さん』
◆(C)『スタッフさん』
こんな役割りの分業の組織があったとします。
では、それぞれの役割りには、どんな責任があるのでしょうか?
(A)の『社長さん』の責任は、『決定責任』です。
『社長さん』が、一番決めなければいけないのとは、ズバリ『予算』になります。
例えば、売上げや利益、お店の雰囲気や商品の質と幅、スタッフさんの人数など、『予算』に合わせて決めて行かなければいけません。
つまり、『社長さん』は、『予算』とそれに伴う全ての決定権を持つため、『決定責任』があるのです。
では、(B)の『店長さん』の責任は、何でしょうか?
『店長さん』の責任は、『結果責任』です。
『社長さん』が、『予算』に合わせて決めたことを基に、『結果』を残す責任があります。
そのために、『結果』を達成する商品やサービスを考えたり、販売や販促を計画したりするのです。
なので、厳密に言えば、『結果』を残すことに多くの時間を使わなければいけません。
しかし、現実的には、目の前の作業をスタッフさんと一緒にやっていることが多いです。
『店長さん』からすると、仕事をしているような気になりますが、本来は『店長さん』の仕事から逃げていると言えるでしょう。
最後に、(C)の『スタッフさん』の責任は、何でしょうか?
『スタッフさん』の責任は、『実行責任』になります。
では、何を実行すればいいのでしょうか?
例えば、
『お客さんに喜ばれる商品にするには、どうすればよいか?』
『お客さんに商品を買ってもらうには、どんなことをすればよいか?』
『お客さんにまた来てもらうには、何が必要なのか?』など
『店長さん』の計画を、『実行』して行くのです。
このような役割りと責任を持った人達が、分業してお店は成り立っています。
念のために言っておくと、『社長さん』が決めたことを、絶対守らなければいけないとは限りません。
もしも、『スタッフさん』が実行した時に、疑問を感じれば、情報としてフィードバックすることも必要です。
分業のお店では、それぞれが役割りや責任を果たしていくことが、とても重要になります。
そのため、分業でお店をやって行くには、まず、『社長さん』がしっかり決めなけらばいけません。
色々な言い訳をして、先延ばししていては、すぐに『分業の弊害』が起こってしまいます。
それと、『社長さん』は決めるだけではなく、『今、決めたこが、正しい選択なのか?』を、常に振り返えなければいけないでしょう。
それをせず、先程の『店長さん』と一緒になって、『社長さん』が目の前の作業を手伝ってはいけないのです。
また、『店長さん』も、『結果を残すために、どうすればいいのか?』を常に考えて、アイデアを出し、『スタッフさん』に実行しやすく説明するのが仕事なのに、何も言わず今までと同じことを繰り返していてはいけません。
さらに、『スタッフさん』も、『社長さん』が決めたことで、『店長さん』が計画したことを、確実に実行することが必要あります。
それを、『やったことがないから、できない』とか、『面倒臭い、邪魔臭いから、やりたくない』とか、言ってはいけないのです。
これらが起こるのは、それぞれの『判断基準』のズレにあります。
例えば、
『社長さん』の『判断基準』は、『損得』で、『いかに利益が上がるか?』に関心があります。
また、『店長さん』の『判断基準』は、『評価』で、『いかに認められるか?』に関心がある人が多いです。
一方、『スタッフさん』の『判断基準』は、『給料』で、『いかにラクしてお金が手に入るか?』に関心がある人も少なくありません。
全てがこのように考えているとは限りません。
しかし、『分業の弊害』は、無意識に起こっているので、意識していないとなかなか気付かないことが多いです。
自分達の役割りや責任をしっかり意識して、それぞれを補完していく姿勢が大切になります。
この恐い『分業の弊害』を、一度チェックしてみて下さいね。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
伊丹芳則