1人の社員さんに対する適正なお客さんの人数は? | 値上げができる店頭看板の考え方・作り方

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もしも今、みんながサボらず一生懸命働いていて、利益が思うように出ていないのだったとしたら、それは単価が低いのが原因です。思い切って値上げをしてみませんか? 店頭看板を通じて、値上げができる考え方をお教えします。

こんにちは、販促相談員の伊丹芳則です。



『あなたのお店で、1人の社員さんが、何名のお客さんを担当していますか?』

という質問をすると、『1人当たり〇〇名です』と、簡単に答えてもらえます。

求める方法は、

1年間で1回以上来店されたお客さんの『総顧客数』を、『総社員数』で割ったらいいのです。

ちなみに、パートさんの場合は、2人で社員さん1人とみなして計算します。



では、『その数値は、適正ですか?』と尋ねると、『適正かどうか、分かりません』という答えが多いです。


昔なら、『顧客数』は、多いほどいいと思われていたので、あまり気にしていなかったのかもしれませんね。

しかし、今は、リピートするお客さんを重視する傾向が強くなっているので、一概に、『顧客数』が多いほうがいいとは言えないのです。


例えば、『お客さんが急に増えた場合を考えてみて下さい』

増えたお客さんに対応するために、社員さんやパートさんの勤務時間を増やしたり、場合によっては、人員そのものも求人で増やすことになったりしますね。

それで、そのお客さんがその後もリピートすればいいのですが、1回限りになると、人件費の負担だけがのしかかって終わる場合が多いのです。

また、リピートのお客さんに対しても、希望の予約が取れなかったり、先延ばしになったりして、迷惑をかかることもあります。



では、社員1人当たりの適正な顧客数を、どうすれば求められるのでしょうか?

求める式を簡単に書くと、次のようになります。

◆社員1人当たり適正顧客数 =(A)÷(B)

◆(A)=社員1人当たり粗利益

◆(B)=顧客1名当たり粗利益



今回のブログ記事は、計算式の説明が多いので、計算式が苦手な方は、その部分を読み飛ばして下さいね。



◆まず、(A)の『社員1人当たり粗利益』から説明して行きます。

これは、以前のブログ記事『 何をモノサシに経営すればいいのか? 』で紹介した、『お店の稼ぐ力を知るモノサシ』です。

この数値は、業種業態、規模の大小に関わらず、お店の稼ぐ力を比べることができます。

目安は、年間の社員1人当たりの粗利益が、優:『1000万円/人』、良:『700万円/人』、可:『500万円/人』です。

(但し、可と言っていますが、不可ではありません。一応の目安としてお考え下さい)



◆次は、(B)の年間の『顧客1名当たり粗利益』です。

これを求めるために、3つのデータが必要になります。

(1)客単価・・・1回の来店でお客さんが使う単価の平均

(2)来店回数・・・お客さんが1年間で来店する回数の平均

(3)粗利益率・・・売上げに対する粗利益の割合


この3つから次のような式で求めます。

『顧客1名当たり粗利益=客単価×来店回数×粗利益率』



<例えば>美容室の場合で計算して見ます。

必要なデータを先に示すと、

◆(A)の『社員1人当たり粗利益』は、『良:700万円/人』とします。

◆(B)の『顧客1名当たり粗利益』は、次の3つのデータから

(1)客単価=8000円

(2)来店回数=4回

(3)粗利益率=90%

『顧客1名当たり粗利益=8000円×4回×90%=28800円』


◆社員1人当たり適正顧客数 =(A)÷(B)=243名


このように、今回設定したデータで計算すると、社員さん1人当たり243名が適正の顧客数になります。

もちろん、これは設定したデータを変えることで、適正の顧客数は簡単に変わるのです。

例えば、『来店回数が4回→5回』になったとしたら、社員さん1人当たり194名が適正の顧客数に変わります。



どうでしょうか?

社員さん1人当たりの適正顧客数って、結構簡単に求めらるでしょう。

一度、計算して見て下さい。



社員さん1人当たりの適正顧客数がどれくらいか?が分かると、社員さんに負担のないバランスの良い経営ができると思います。


昔のように、『顧客数』が多ければ多いほどいいと思わず、『どんなお客さんが何名必要か?』と考えて、適正顧客数を意識して見て下さい。

お店の雰囲気が変わり出しますよ。




最後まで読んでいただきありがとうございました。
伊丹芳則