犬と猫の自然療法研究所 Emily’s Lab. の高橋恵美です。
昨日、とても悲しい知らせが届きました。
一年前に私たちの大規模TNR(地域猫の不妊手術)活動の
きっかけとなった猫、「ハナオ」が亡くなったのです。
去勢手術を終え、
元いた場所にリターンしたハナオは、
その後地域の餌やりさんに見守られながら過ごしていました。
ところが、最近少し元気がない様子を心配した
餌やりさんが病院へ連れて行ってくれたものの…
診断は末期の腎不全。
あっという間の旅立ちでした。
2週間前に連絡を取り合ったときには
「猛暑の中でも元気にしています」
との報告を受けていたので、
あまりの急な出来事に私も、餌やりさんも心が追いつかずにいます。
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◆ 出会いは偶然じゃなく、運命だった
ハナオとの出会いは、近藤洋子さんが
旅先で偶然ハナオに出会ったことから始まりました。
豪華なヴィラのテラスに現れたハナオ。
優雅に夜空を見ながら入るはずのジャグジーの
お水を飲んだりするものだから
旅行中にも関わらず、
彼のことが気になって仕方なくなった洋子さんは、
なんとか保護できないか?と
私に連絡をくれました。
*ちなみに
初めは女の子だと思い込んで
「はなちゃん」と呼んでいた洋子さん。
実は、男の子だったと判明し(笑)
そこから「ハナオ」に改名しました。
私が保護団体の方とともに、現地調査に向かうと
なんとハナオが待っていてくれて、
彼の仲間たちがいる場所へと案内してくれたのです。
なんとそこには、ママ猫を含む21匹がいたのです!!
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◆ 21匹のTNR完了、命の連鎖を止めた場所
広範囲な上に、警戒心が強いママ猫までいたことで
3日かかってようやく全頭捕獲
山を越えて動物病院に運び、避妊去勢手術
医療が必要な子には、投薬治療し
再び山を越えもといた場所にリリース
往復4時間近くかかる現場をなん往復もして
ようやく、21匹のTNRを完了。
それまで
毎年のように子猫が生まれては消えていったこの場所で、
この一年間、一匹の子猫も生まれていません。
環境整備や餌やりの管理方法も、
餌やりの方にしっかり引き継がれ、
新しい猫も流入せず、地域で見守るコロニーとして安定していました。
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◆ かすかな鳴き声に導かれて保護された命「すずちゃん」
TNR完了後、猫たちをリリースして帰ろうとしたそのとき。
どこからか「か細い鳴き声」が聞こえたのです。
そこにいたのが、私が預かることになった子猫「すずちゃん」。
280gという極度の栄養失調と成長不良。
あのとき見つけなければ、
すずちゃんは確実に命を落としていたでしょう。
あの声を導いてくれたのも、
ハナオだったように思えてなりません。
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◆ 外で生きる命の短さと、私たちができること
外で暮らす猫たちは、
たとえ餌をもらっていても、
新鮮なお水がなかったり、猛暑に耐えきれなかったり…
その寿命は本当に短いものです。
TNR活動にはさまざまな意見があります。
「リターンなんてかわいそう」
「全頭保護すべきだ」
…そう思う気持ちも、もちろん分かります。
でも、今この瞬間も、外で生まれて死んでいく命があるのです。
すべての猫を保護するのは現実的には無理。
だからこそ、
「増やさない」という選択を、
今できる最善の方法として私は選びます。
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◆ ハナオが繋いでくれた命に感謝して
ハナオは、21匹の命を守るための道をひらき、
すずちゃんを救い、
地域にTNRと「共に生きる道」を教えてくれました。
誰よりも早く旅立ってしまった、
かけがえのない命。
ようやく安心して生きる場所を見つけて
たった1年。
まだ、心の整理はつかないけれど
どうかどうか、ハナオが静かに眠れますように。
そして、これからも彼が繋いでくれた命を、
私は守り続けていきます。
外で暮らす猫たちを
「自由気ままで、それはそれで幸せ」
そう思う人もいるけれど
悲惨な現場や、
ハナオのように短命で死んでしまう子も
たくさん見ている私には
自由よりも、過酷さしか感じられない。
外で暮らす猫はなくしたい!
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と言いながら、
我が家で、今年も保護猫の預かりしています。
すずちゃんと同じ、成長不良のガリガリちゃん
菜々緒(ななちゃん)
月齢よりかなり小さく
保護された時は、
助かったとしても長く生きられないのでは?と
獣医師に心配された子。
我が家で栄養状態の改善と
家猫修行中です!
ただいま、食の英才教育中で
見事な優等生に成長してます。
体重も、順調に増えもうすぐ目標の1kg
カリカリ・ウェットフード
手作りごはんの加熱から、現在半生までクリア
新しい家族を探しながら、
家猫修行頑張ってます。
爪切り・歯磨き
なんでもできるよ♡
ハナオの分まで
元気に生きてほしい。
ハナオ。また会おうね














