アマゾン先住民の村では、大切な物事を決めるとき、村人が全員納得するまでゆっくりと時間をかける。
最初に村の真ん中にある「男の家」に男たちが集まり、それぞれの考えを話す。違った考えを持つ者はそれを話す。決して他者の話しに割り込むことはしない。全員がそれぞれの考えを話して行くうちに、自分の考えではなく他者の考えに賛同する者が出て来る。そうして何巡も話しをして行くうちに、ひとつの落としどころが見つかる。(この過程はクローズではなく、オープンなので、子どもや女たちも一部始終を小屋の周りで聞いている。)
男たちは最初の結論を持って、家に帰り、母や妻に相談する。彼女たちは、あるときは「そんないい加減な取り決めじゃダメよ」とダメ出しをする。男たちはとぼとぼと男の家に戻り、話し合いの続きをする。
こんなことを繰り返して行くうちに、村人全員が納得できる答えを見いだして行く。その根底にあるのは、村がいつまでも平和で、皆が元気で仲良く暮らせるようにとの思い。
そうして物事が決まったとき、村人全員がその物事の本質を理解し、納得しているので、すでに成就したも同じ。リーダーの指図など受けずとも、村人一人一人が自発的に動き、物事はスムースに進んで行く。
彼らにとっては当たり前のことで、いまさら取りたてて言うほどのことでもないのだが、私たち野蛮人はここから何を学ぶのか。
写真:アマゾン先住民メイナク族族長ユムイン(1999年)

