ある晴れやかな外交の舞台で、一触即発の事態が起きました。乗り込んできた中国人が「俺たちの命令を聞け」と激昂する中、一人の日本人外交官が見せた毅然とした態度は、後に世界中から称賛されることになります。
その物語の舞台は、日本の大使館が主催した天皇誕生日を祝うレセプション。会場には各国の政府関係者や外交団が集い、和やかな雰囲気に包まれていました。その中には、台湾からの代表の姿もありました。
その穏やかな祝宴の空気を引き裂いたのは、一人の男の怒声でした。台湾代表の出席を目の当たりにした中国大使が、顔色を変えて日本側に詰め寄ったのです。
「今すぐ台湾代表を退席させろ!」
高圧的な要求に、会場の空気が一瞬で凍りつきます。しかし、その恫喝を前に、日本側の宇山秀樹大使は一歩も引きませんでした。彼は、燃え盛るような視線を真っ直ぐに受け止め、静かに、しかしはっきりとこう告げたのです。
「主権国家として、誰を賓客としてお招きするかは、我々日本の判断です」
その言葉に、中国側はさらに激昂。「後悔するぞ」と捨て台詞を吐き、台湾代表を指差しながら会場を後にしました。
嵐のような一団が去った後、日本の大使館職員たちは何事もなかったかのように、粛々と祝宴を続けました。その動じることのない、あまりにも毅然とした姿に、事の成り行きを固唾をのんで見守っていた欧州の外交官たちから、思わず称賛の拍手が送られたといいます。
※忘れられた真実より


