桝野俊明氏の心に響く言葉より…

人間関係でもっとも大事なことは、おたがいが「心地よさ」を感じられることだ、とわたしは思っています。その人といる時間が心地よいものであったら、「また、いる時間をもちたい」と思いますし、関係はどんどん深まってもいくでしょう。心地よさを醸し出すものとして、いちばんにあげたいのが禅語の「和顔」です。和やかに微笑んだ表情を向けられて、嫌な気分になる人はいません。腹立たしくなったり、沈んだ気持ちになったりすることも、もちろん、ありっこない。一方、苦虫を噛みつぶしたような表情や相手を見下したような表情は、それだけで相手の気分を害しますし、言葉を交わす前から、その場の雰囲気をトゲトゲしいものにしてしまうものです。表情は雰囲気づくりの要であるといってもいいでしょう。じつは「和顔」は禅(仏教)の教えの実践でもあるのです。「布施」という言葉は誰もが知っていると思います。相手に何ごとかを施すことですが、この布施には、金品を施す「財施」、仏教の教えを伝える「法施」、相手を慰め、怖れを取り除く「無畏施」があります。 そして、もうひとつ、誰もができる布施として「無財の七施」というものがあるのです。財力がなくても、仏様の教えに通じていなくても、無畏施をおこなう人として の器量が備わっていなくても、できる7つの布施です。 その七施のひとつが「和顔」です。和顔で人と接すること、それは尊い布施である、とするのが禅の考え方です。 これまでは人と接しているときの自分の表情を意識したことなどなかった、という人が少なくないかもしれません。でしたら、いまから意識しましょう。和顔を心がけるのです。 まずは鏡に向かって、和やかな表情をつくってみてはいかがでしょう。 「こうかな? いや、ちょっと硬いな。これならどうだ? おっ、なかなかいいじゃないか。これでいこう」 たった独りの“作業”ですから、いくらでも試行錯誤を重ねてください。そして、人と接するときはその和顔眼(わげんがん)でいるようにつとめる。つとめること、努力することが大切です。 努力を重ねることでそれが身につくのです。習慣になって意識しなくても、そうできるようになる。「努力(意識)→習慣」というこの“法則”は習慣すべてについていえることです。例外はありません。 最初はぎこちなさがあってもいいではありませんか。継続は力です。続けてください。それは、 「理由はわからないのだが、あの人と会うといつも、なぜか“心地いい”って感じなんだよなぁ」 そんな人になるための着実な足どりです。
《和顔(わげん)・・・和やかな笑みをたたえた表情のこと。
対話をする相手がもっとも好ましいと感じる向き合い方。》
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人と人をつなぐ最強のコミュニケーションツールが「笑顔」。それは、言葉よりも早く相手の心に届き、相手の警戒心を解き、信頼の扉を開く。どんなに素晴らしい言葉を並べても、無表情で語れば、相手には冷たく響く。 逆に、たどたどしい言葉であっても、笑顔で伝えれば、それは、あたたかく受けとめてもらえる。人の心を動かすのは、理屈ではなく「感性」だからだ。 だから、およそ人が関係するものすべてに、この笑顔のパワーが必要となる。職場でも、学校でも、コミュニティでも、趣味の世界でも、あるいは、政治の世界でも、それはすべて同じだ。たとえば、政治でいうなら、どんなに素晴らしい政策や理念を発表しようが、仏頂面で、不機嫌な顔で記者発表するなら、それは有権者には一つも伝わらない。それは表情だけでなく、食事の食べ方、きちんとした服装、清潔な身なり、礼儀や応対辞令等々の日頃の所作の一つひとつが、有権者に見られているということでもある。SNSの発達していなかった時代には、それが一般には伝わらなかったから騒ぎにはならかった。だが、今は違う。政治家の一挙手一投足が見られている。「笑顔は最強のコミュニケーションツール」という言葉を胸に刻みたい。
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