僕が幼稚園の頃の事だ。まだ東北新幹線も上越新幹線も建設中で、一部区間を試験車両だけが走ってた時代。僕は、山陽新幹線の沿線に住んでいて、毎日のように白に青いラインの丸鼻の新幹線を見て育った。そんな時に、母親と本屋に行った時の事。一冊の電車の絵本を見てショックを受けた。「みどりいろのしんかんせんがある!!」今までとは違う新幹線電車は、自分には、かなり衝撃的だったのだろう。次の日のお絵かきの時間、たまたま「しんかんせん」の絵を描こう、という事になり、僕は早速、昨日絵本で見た「みどりいろのしんかんせん」を描いた。うまく描いたはずなのに、同じクラスの園児みんなが、僕の絵を笑った。「ほんとうにあるんだよ!みらいのしんかんせんだよ!」半ベソかきながら反論する僕を、先生だけがなだめてくれた。それでも、半信半疑な顔だったが。それから次の週、園児みんなで新幹線の駅に行った。各自、先日描いた絵を持って。いろいろ見学をして、先生が「それじゃぁ、駅長さんに質問ある人~!」と言うや、僕は真っ先に手を挙げて、立って絵を見せながら質問した。「みどりいろのしんかんせんは、いつからはしるの?」ドッと笑いが起こった。今度はクラスの子だけじゃなくて、園児全員だ。駅長氏は、僕の絵を手にとって見ながら、ほほぉ~と感心した表情を見せ、この電車は、皆さんがもう少しお兄さんお姉さんになった時に、東京から北のほう、冬には雪がたくさん降る盛岡や仙台、新潟へ走ります。できたときには、ちょっと遠いけど皆さんもぜひ、乗りに行ってくださいね!と答えてくれた。


どよめきが起こった。どうだ!本当にあるって言ってくれたぞ!僕は、誇らしかった。あれから、そのみどりいろのしんかんせんも、リニューアルして活躍を続けるものもあれば、新型車両に使命を託し、解体されていくものもある。こうした光景を見ると、あの日からかなりの年月が経ってしまったんだなぁ、と感じる。あの日に描いた絵も、当然手元にはない(引越の時に棄てたのだろう)。でも、200系との「衝撃的な出会い」の瞬間は、永遠だ。



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