「のに」 相田みつを
あんなに世話を してやったのに
ろくなあいさつもない
あんなに親切に してあげたのに
あんなに一生けんめい つくしたのに
のに・・・・・
のに・・・・・
のに・・・・・
〈のに〉が出たときには愚痴
こっちに〈のに〉がつくと
むこうは 「恩に着せやがって--」 と 思う
庭の水仙が咲き始めました
水仙は人に見せようと思って 咲くわけじゃないんだなあ
ただ咲くだけ ただひたすら・・・・・
人が見ようが見まいが
そんなことおかまいなし ただ
いのちいっぱいに 自分の花を咲かすだけ
自分の花を--
花は ただ咲くんです
それをとやかく言うのは人間
ただ ただ ただ--
それで全部
それでおしまい
それッきり
人間のように 〈のに〉なんて愚痴は 一ッも 言わない
だから 純粋で 美しいんです。

