
男手ひとつで娘を育ててきた。
娘が一人、嫁は娘が一歳の時に、事故で嫁の両親と共に他界、俺の両親も俺が高校時代に他界していた。
生活は何とかなったし、会社内の保育園があって残業も出来た。
一人暮らしが長かったので家事も問題なかったなので、うちは大丈夫だと思っていた。
娘の小学校の授業参観に行くまでは。

まずクラス全体を見て「あれ?」と思った。
うちの娘だけ色味が暗い・・・
明るい色が服に文具にもサブバッグにも無い。
髪も他の女の子は可愛く結っていたりリボンやカチューシャをしているのに、うちの娘はおかっぱ。
しかも古いおかっぱまずい。
やばい。と思った。
恥を覚悟で、保護者会の後でまわりのお母さん達に子供服や小物について質問した。
うちの子の飾り気のなさを気にしてくれていた人が沢山いて、でも口出ししたら悪いと思って言い出せなかったと言ってくれた。
髪も殆どの子は美容院に行っていた。
俺は自分で切っていた。
カチューシャ・バレッタと言う言葉もこのとき初めて知った。

教えて貰った服屋に娘を連れて行った。
明るい色ばかりの、キラキラした飾りやハートや星でいっぱいだった。
好きな服を好きなだけ選んで良いよと言ったら娘は飛び上がって喜んだ。
今まで近くのスーパーの二階で買っていた服とは値段もデザインも全然違った。
微妙な年の娘に今まで惨めな思いをさせてたんだなと泣きたくなった。
まわりの「お母さんがいる子」は可愛い服を着て、なのにうちの娘は・・・・・・って大きな袋にいっぱい服を買って、そのまま靴屋(これも近くのスーパーの中で買っていた)とサンリオやキティショップに行った。
車の後部座席もトランクも買った物でいっぱいだった。
家に帰っても娘の興奮は治まらず、買った物を全部身に付けてファッションショーになった。
ちゃんとしているつもりだった。
不自由させてないつもりだったけど、全然駄目だった。
娘のキラキラした笑顔を見て、反省した。
男親じゃ分からない事ってあるよ。
娘の髪がもう少し伸びたら美容院に連れて行く。
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素敵なお父さんですよ!
