『わたしの弟』茅野 葵

わたしには4さいの弟がいます。
名前はゆう太といいます。
ゆうちゃんは、生まれつきはついくがゆっくりしています。
そのため、言ばを上手に話せません。
たとえば「ジュースをちょうだい。」とかは言えません。
一人でトイレに行けないのでオムツをしています。
毎日元気いっぱいで、いつもニコニコしています。
テレビやラジオからすきな歌が聞こえてくるとおどり出す時があります。
テレビを見ている時や、絵本を読んでいる時は、わたしのひざの上にちょこんとすわります。
いいにおいがしてとてもかわいいです。
お姉さんとけんかをしてないてしまった時には、ハンカチをもって来てくれました。
なみだをふいていたら、頭をよしよしとなでてくれました。
とてもやさしいです。
お手つだいもします。
ごはんの時はお茶わんをはこんで、おはしをならべます。
上手にできなくても、一生けんめいがんばります。
ごはんは、おなかがパンパンにふくれるまで食べます。
バナナがすきで、べつばらをいくつももっているようです。
公園のすべり台が大すきで、何回でもすべります。
犬のさん歩をしている人を見かけると近づいて行ってすぐになかよしになります。
どうやら、ゆうちゃんのえ顔は、みんなをしあわせにするふしぎな力があるようです。
こまることもあります。
わたしをかむことです。
かんだらすぐには、はなしません。
せ中に、はがたがついたこともあります。
いたずらもよくします。
つくえの上をちらかしたり、ふすまにマジックでいたずら書きをしたこともあります。
こないだは、トイレにボールをながしてつまらせてしまい、とってもこまりました。
わたしがちゅういすると「あっかんべー」をしてお母さんのところへにげて行ってしまいました。
せん日、弟が一人で外へ行ってしまったことがあります。
公園へさがしに行ってもいません。
通りがかった人が「小さな男の子がスーパーにむかって歩いているのを見た」と教えてくれました。
いそいでスーパーに行ってみると、弟が店内で買いものをしていました。
小さな手さげの中には、タコ、たらこ、キウイフルーツ、ネギが入っていました。
タコい外は、かぞくのこうぶつです。
タコはというと、わたしが「工作でたこ糸がほしい。」と言っていたのを聞いていたのでしょうか。
とつぜん、なみだが出て来て、弟をだきしめてしまいました。
ぶじでよかった。
わかったことがあります。
弟はゆっくりだけど、自分でくつもはけるし、歩くこともできるのです。
道も知っています。
それと、うまくおしゃべりはできないけれど、話を聞いて理かいしていることです。
お父さんは「これからは一人前にあつかわなければならないね。」と言いました。
弟はかけがえのない家ぞくの一いんです。
小学生になって、一しょに学校に行くのが楽しみです。
ゆうちゃん大すきだよ。
心の輪を広げる体験作文最優秀賞 (内閣総理大臣賞)
絵 障害者週間のポスター「もうどうけんってすごいな」
