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「辞めさせて下さい」 


 あの日、私は憧れだった上司に勇気を振り絞って、話を切り出しました。 


 準社員(アルバイト)で入社してから、新人キャストや後輩を指導するトレーナーを経て、さらに責任のあるパレードリーダーと呼ばれるパレードの運営責任者となっていた私は、気づけば8年間という長い時間をディズニーランドで過ごしましました。 


 この8年間を振り返りますと、本当にいろんなことがありました。 


 でも、仕事が嫌になったことは一度もありません。 


 むしろこの場所で働けることに、誇りも喜びも感じています。 


 最初にディズニーランドの研修で教わったように、心を込めておもてなしを続けていますと、ゲストから「ありがとう」と感謝されることも多いものでした。 


 一緒に数々の感動的な出来事も経験してきました。 


 「こんなにも人に喜んでもらったり、感謝してもらえたりする仕事は他にないのではないか。
しかも、働いている自分たちもゲストからたくさんのハピネスをいただいて、働く喜びを感じることができるなんて、本当に素晴らしい職場だ」 


 ディズニーランドで働くことは楽しくて仕方がありませんでした。 


 「今日はどんなステキなハピネスに出会えるだろう」 


 いつもいつも職場に向かうまで心を躍らせていました。 


 そして、いつしか私にとってこの場所で働くことが生きがいになっていました。 


 「今よりもさらにスペシャルな夢の場所にするにはどうしたらいいだろう。
自分たちに何ができるだろう」 


 仕事を終えた後、キャストみんなで居酒屋に繰り出したり、先輩の自宅に泊めていただいたり、朝まで夢の場所をもっとよくするために朝まで語り合ったことは何度もあります。 


 「ここは日本一、いや、世界一幸せな職場なのかもしれない」 


いつもこう感じながらこの日までやってきたのです。 


 だからこそ、
「辞めさせて下さい」と切り出すのは私にはすごく勇気のいることでした。 


 それでも退職を決めた理由。 


それは、自分の人生を真剣に考えたからこそでした。 


 20歳を過ぎて周りの仲間たちが次々と正社員として就職していくなか、いつまでもアルバイトのままという道は私には選べませんでした。 


これからの人生、やはり結婚して、家族も作りたい。 


そのためには、正社員として働きたいと考えたのです。 


 ディズニーランドで正社員として働くことができればよかったのですが、その当時、アルバイトから正社員になるは、前例も少なく、限りなく難しい道。 


だからこそ、正社員という生き方を臨むことは、ここを辞める以外、当時の私には選択肢がありませんでした。 


 「辞めてどうするんだ?」 


 「はい…。本当はまだこの場所で働いていたいのですが、この前、先輩から就職先を紹介されまして…。いろいろ考えたのですが、その会社に入って頑張ろかと…」


 「そうか…。分かった」 


 ほんの一瞬の間があった後、上司は続けます。


 「それなら早く退職手続きをしないとな。えっと、この書類のこの部分を記入して、ここにハンコを押してくれ。あとは、会社から貸与されたものもあるよな。退職日までにそれらを返却する準備をしておくように。
あっ、そうだ、退職日はいつにする?次の場所が決まってるなら早いほうがいいぞ!なんだったらきょうだっていいぞ!!」 


 私が予想していた上司の返事とは全く別のものでした。 


淡々と私の退職手続きを進めていく上司の姿に、僕はただただ立ち尽くすしかありませんでした。 


 正直なことを言うと、心のどこかで「辞めたい」と言えば、

「もうちょっと我慢しろ。俺がお前を正社員にしてもらうように取り計らうから。いや、誰が反対しても俺がお前を正社員にしてやるから。お前、ずっと頑張ってきたんだからな」 


と引き止めてくれるかもしれない、そんな甘い期待があったからです。 


 8年間身も心も捧げて働いてきたのに、自分の存在はただ一人のアルバイトでしかなかったのか。 


 ショックでした。 


 と、同時に腹も立ちました。 


表情一つ変えずに退職手続きを進める上司に、そして上司から認めてもらえると思い込んでいた自分自身にも。 


 でも、これが現実でした。 


 そして、数日後に迎えた最後の日。 


 いつもと変わらず業務を終えて、最後の報告書を書き上げて、上司にそれを提出しにいきました。 


そこにいたのは私が退職を申し出たあの上司でした。 


 「お疲れ様です。業務報告書できましたので、ここに置いておきます」


 「おう、お疲れさん」


 「俺…、今日…最終日なんですよ」 


 「うん?あーそうだったなぁ。お疲れさん。じゃあな」 


 「えっ、それだけ…ですか…?」


リッドキララ

 

 「あっ、そうそう言い忘れてた。お前の退職なぁ、“再雇用不可”ってことで処理しておくからな。まあ、分かりやすく言えばだなぁ、今日辞めてから、この会社には戻れないからな!!まあ、戻ることもないだろうけど(笑)」 


 余りのことに黙って立ち尽くしかありませんでした。 


 しばらくしてその沈黙を破るかのように、上司は机の上の書類に目を落としたままこう言ってくれました。 


今でも何かくじけそうになった時にはこの上司の言葉を思い出します。 


 「いいか。よーく覚えておけ。今日が最後なんかじゃないぞ。ここからが本当のお前のスタートなんだ!!もう振り返るな。大丈夫。今日お前は無事に“卒業”したんだから…。ディズニーの卒業生として胸を張って行ってこい。そして、思いっきりやってみろ。今まで頑張ってきたお前なら絶対大丈夫だから。俺が保証する。自分を信じてやったら大丈夫だから。それとな、これだけは言わせてくれ。今までお前と働けて本当に良かった。ありがとう。そして、…本当におめでとう!よっし、それじゃあ、行ってこい!!!」 


 そう言って顔を上げた上司の瞳は真っ赤でした。 


 実際に本当に雇用不可になったのかは分かりません。 


でも、あの時の言葉は、
「ダメだったら、また戻ってくればいいや」という甘えた気持ちを一切抱かせないためのもの、本当の意味での優しさだったのだと思います。 


 憧れだった上司に「卒業」と送り出してもらった時に、私は本当の意味で認めてもらえたと強く感じました。 


そして、次のステージでもっと飛躍する存在になれ、と背中を押してくれたのだと。 


 あれから数年後、正社員として入った会社で働いた後、いろんな紆余曲折を経て、独立して、現在は中小企業の経営コンサルティングやセミナー講師をさせていただいています。


ディズニーで学んだこと、もらったことはどんな場所でも通用するし、ハピネスをさまざまな方々に体感していただけることを実感しました。 


 不器用なやり方でしたが、あの時私の背中をおしてくれた上司に、今も感謝しています。 

-----------------------------------------------------------------------------「ここを巣立っていく部下にとって一番のハッピネスは何だろう?」 


 この上司は部下の思いに寄り添って行動しました。 


 これだけステキな職場はなかなかないでしょう。 


 ダメだったらまた戻ればいい。 


 居心地の良い所にはいつしか戻ってしまう。 


 そんな部下の将来を見越して、部下に最高のプレゼントをすることができたと言えます。 


夢を叶えるためには、まず必要なことは本当にその夢を叶えたいという強い気持ちと、
何としても夢を叶えるという決意、そして、夢を叶えるために障害となるものと別れをする覚悟です。 


 この覚悟がないと、夢を実現することができません。 


 ディズニーランドの創始者ウォルト・ディズニーはその成功した資金を広大な土地の購入に充てました。 


 「せっかく稼いだお金を…」 


彼を心配した親しい友人は彼を止めました。 


 でも、彼は覚悟して続けました。 


 「誰もがハピネスをいつでも感じられる場所を作りたい」 


その夢を叶えるために。 


 そして、具体的な計画を素直に実行しました。


 すると、彼の夢に賛同してくれる人が集まって、あなたがご存知のように彼の夢は実現しました。 


 あなたの夢が叶いますように。 


 私はあなたの夢の実現を応援しています。




 ※ディズニーが届ける夢のサービスより