「いま泣いたカラスがもう笑う」 相田みつを

子供の世界はいつでもそうだ
大人のわたしはそうあっさりとはゆかない
面子や体裁やらてれくさい、
なんて事がいつでもつきまとって
そんな早わざはできない
面子、体裁、照れくさい
皆周りを気にしてのこと、何で気にするの
少しでも自分をカッコよく見せたいと思うから
誰に見せたいの
それは人間
常識豊かな人間
分別豊かな人間
相手はいつも人間
幼い子供は仏の世界にいるから
人間の常識を相手にしない
分別豊かな人間を相手にしない
泣くときは全身で泣き、笑う時には全身で笑う
一生懸命泣いて、一生懸命笑う
しかも、泣くことから笑うことへの転換がすばやい
頭の切り替えが早い
なぜ?
子供は頭がやわらかいから、
子供はこころがやわらかいから
やわらかい仏のこころを生きているから、
柔軟心をいきているから
いま泣いたカラスがもう笑う
大人のわたしにはそれができない
からだばかりではなく
頭が固いから
心が固いから
