「失敗を恐れる人は、それ以上の大失敗を引き寄せている」 望月俊孝

あなたもこんな経験をしたことはありませんか?
私は小学校3年生の頃、鉄棒の逆上がりができませんでした。
何回か挑戦しました。
でも、数回の挑戦ではうまくいきませんでした。
私は失敗して、笑われるのが恥ずかしかったのです。
次第に、挑戦する意欲も失せていきました。
そうして「どうか早く体育の時間が過ぎてくれますように!」と願いながら、先生にも同級生にも目につかないように、隅に引っ込んでいました。
なんとか数回の授業で逆上がりは終わり、また違う種目の授業になりました。
嵐は去ったのです。
ところが翌年には、また鉄棒の時間が巡ってきました。
そこで今度も、隅に引っ込んで隠れていました。
しかし、今度の嵐のほうが、昨年よりも強烈です。
なぜなら逆上がりができないで小さくなっている仲間が、また少なくなってきたのですから……。
翌年には、さらに逆上がりができない仲間は減っていきました。
そうして中学生になったとき、クラスで逆上がりができない人は、とうとう私だけになってしまったのです。
最後には夢でもうなされるほどでした。
「最初、勇気をもって、積極的に取り組んでいたら……」
「多少失敗を重ねても挑戦し続けていたら、こんなにまではならなかったのに……」と、何回後悔したかわかりません。
そこから学びました。
完璧主義で一時的な失敗、小さな失敗もしたくない人は、実は最悪のマイナス思考だということを。
最悪の失敗よりもさらに悪いこと――
それは、まったく失敗しないことです。
人は年齢を重ねるに従って、だんだん挑戦しづらくなってくるものです。
けれども人生の可能性というのは、私達の情熱と積極性・意志によって拡大したり、縮小したりします。
ベンジャミン・フランクリンは、「いろいろなことをする人は多くの過ちをおかすだろう。しかし彼は、何もしなかったという最大の過ちだけはおかさないはずだ」と言っています。
「チャレンジして失敗を恐れるよりも、何もしないことを恐れろ」(本田宗一郎)
本当の失敗とは、失敗を恐れ、挑戦しないまま時が過ぎてしまうことなのだ。

