Y少年は、小学校2年の時交通事故で両親を一度に失ったため田舎の祖母の元に引き取られ、おばあさんとの2人暮らしが始まりました。

すると、さっそく新しく転校してきた都会風の子であるY少年へのいじめが始まりました。。。
いじめっ子のボスは、この地の名士といわれる工務店の社長の一人息子でした。
ものはなんでも買ってもらえました。
父親をまねて人に威張り散らすので、友達は恐れながらも追従しがちだったのです。
ある日、学校の帰り道で、ボスと取り巻き6人に待ち伏せされ、Y少年は殴られたり蹴られたりしました。
ちょうど畑仕事から帰っていたおばあさんは孫の血みどろの顔を見ると、一瞬、血相を変えましたが何も言わずに手当をし、ひとこと言っただけでした。
「明日からもいつも通り学校へ行くんだよ」
翌日の帰り道、昨日と同じところにボスたちが見えました。
逃げようとするY少年の前に立ちはだかったのは、おばあさんでした。
がっしりとした背で孫をかばいながら、堂々とボスたちに近づいていきます。
おばあさんの気迫に圧倒されたいじめっ子たちは、立ちつくしたままです。
おばあさんは、ボスの肩をがっしりと押さえると、有無を言わせずボスの右頬をつねりあげました。
もがくボスを身動きさせず、腹にしみ通るような力に満ちた大声で、皆にも聞こえるように、こう言ったのです。
「おめえら、今日は許すから今日限りまともな人間になれ!甘えるな!親が忙しくて心をくれなくてもひとりの人間としてちゃんと自分の足で立つんだ。おめえらの年なら、そう生きようと決めれば、できる!甘えるな!!ちゃんと覚悟ができるまで、この手を放さねえからな」
ボスはだんだんうなだれ、周りの取り巻きの子どもたちは金縛りにあったように硬直しています。
しばらくの後、やっとおばあさんのつねりあげから解放されたボスは、小さな声で、Y少年に向かって「ごめん」と言いました。
すると、周りの子どもたちも口々に「ごめんね」と頭を下げました。
「それでよし。おめえらが立派な大人になるまで、ばあちゃんは、死んでも目を離さねえからな」
そして、Y少年を引き寄せると抱きかかえるようにして再び気迫にあふれた声で遠く野山まで届きそうに言ったのです。
「この子は、うちの大事な子だ。ばあちゃんはこの子のために、いつでも命を投げ出す。そんな大切な子だ。この子には、真面目に生き抜いてきた先祖代々の命が受け継がれている。この子は、生きているだけで尊い子だ。この子の両親は、目に見えなくてもこの子といつも一緒にいて守ってくれるんだ。この子はこの世の宝だ」
そう言い終わると大きく息を吐き子ども達の前に一歩進み活を入れるように一人ひとりの子どもの胸に奥深くにずしりと収まる声で宣言したのでした。
「おめえら、一人ひとりも『宝』だ」
このとき以来、学校からいじめは消えました。
Y少年は、祖母亡き後、施設で成長しました。
明るい親切な人となりで、今は誠実な会社員として人々の信望を集めています。
そして、彼はあのときの祖母の姿と言葉が、いつも自分を導いていると感じているのです。
「祖母は、自分がどんな子であっても、宝のように大事にしてくれました。あの祖母の気持ちに背くことはできません」と・・・
※鈴木秀子著「愛」は伝わっていますか講談社
・・・━━━☆・今日の1歩・・・━━━☆・
感動しました(泣)
無条件で受け入れる愛・・・
心に響きますね♪
※100人の一歩より


