「すみません。3時のパレードは何時ですか?」

ゲストから実際にあった質問です。
「“3時”と自分で言ってるのに……」と疑問を抱くのは普通ですね。私もそう思います(笑)でも、この質問、本当に多いんです。
本当に。
このとき、「3時のパレードは3時からですよ」って答えるのはNGですよね。
しかも、「自分で言ってんじゃん」という気持ちで(笑)ながら答えたら、ゲストは怒るでしょう。
どういうことかと申しますと、ゲスト自身のお聴きしたいことを正確におっしゃって下さるわけではないということです。
そうしますと、私たちキャストは「ゲストが本当にお聴きしたいことは何か?」を想像力を働かせる必要があります。
ですから、3時のパレードが3時にスタートすることは当然ゲストもご存知ですから、「3時です」と答えても、ゲストのお望みの答えではありません。
ゲストがわざわざキャストに聴いてくるということは、パレードを見たいからです。
つまり、「3時のパレードは“ここに”何時に来るのですか?」という意味です。
ですので、上の質問に対してキャストが答えるべき回答はこうなります。
「3時のパレードはお化け屋敷の横をスタートし、こういうルートを通過しますので、こちらに到着するのは3時15分ぐらいになります。」
そして、より良い回答はこうなります。
「約30分ぐらいのパレードですから、この場所ですと、3時15分頃から始まって、見終わるのがだいたい3時45分ぐらいになります」
こう回答しますと、ゲストはその後の予定まで考えることができます。
こういう回答はより親切なものとなります。
ただし、ここまではゲストの質問に対して答えているだけです。
つまり、このディズニーランドでは当たり前のサービスです。
ディズニーランドのキャストが目指すのはその先のサービスです。
では、どうすればいいか。例えば、質問をされてきたゲストの好みを観察するのも1つです。
ゲストが身につけているもの、小物や帽子などをよく観察するとそのゲストの好みが見えてきますよね。
プーさんのキャラクターを多く身につけているのに気づいたら、私はこう質問してみます。
「お客さまはプーさんがお好きなのですか?」
「はい、大好きです。」
「もう園内ではプーさんに会いましたか?」
「それがまだなんですよ」
「だったら、パレードにも出てきますよ!!ただ、この場所ですと、あんまりこっちを向いてくれませんので、必ずプーさんが向いてくれる場所をご案内しましょうか?」
「えー、是非お願いします」
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普通の遊園地の場合、
「お客様は質問の中で3時とおっしゃっていますよね。
ですので、パレードは3時ですよ(笑)」
とダメな従業員ならお客様を小馬鹿にするような呆れ顔で答えるのでしょう。
一方、ディズニーパークでは、お客様はパレードを見ることができる時間を知りたくて、キャストに質問したところ、その質問に親切に的確に答えを教えてもらっただけでなく、大好きなキャラクターがよく見える場所まで知ることができます。
これが相手の期待を超えるサービスになるわけです。
それが可能にするには、お客様のことをよく観察し、その観察したことからいろいろと想像することでお客様の思いに寄り添い、行動することが必要となります。
お客様の思いに寄り添った行動を取ることはディズニーパークのキャストにとっては当たり前なのです。
その先の行動はキャスト一人ひとりの創意工夫に委ねられますから、ゲストは来園ごとに異なる感動を体感できます。
先日の「免責のサービス」も“できる”サービスまでには日本人スタッフはたどり着けませんでしたが、お客様の思いに寄り添うことはできていたことはステキなあなたは何となくお気づきだったのではないでしょうか。
お正月の着物を来たゲストをいろいろ観察していろいろ想定される事態を想像したからこそ、あのミーティングが開かれたのです。
普通の遊園地なら、「着物を着てこんな所に来たらトラブルは発生するのは自覚しなさい。常識的におかしいでしょ。自己責任ですよ。ですので、弊社は責任を負いかねます」とミーティングもなくクレーム処理をしますし、訴訟でも負けないでしょう。
でも、ディズニーパークではわざわざミーティングが開かれました。
それは、お客様のことをよく観察し、その観察したことからいろいろと想像することでお客様の思いに寄り添い、行動することがディズニーパークでは当たり前だからです。
これがディズニーが届ける夢のサービスの根幹です。
あなたの夢が叶いますように。
※ディズニーが届ける夢のサービスより


