私がディズニーのジャパン・パビリオンで接客中のことでした。

80歳くらいの小柄なアメリカ人夫婦がアクセサリーのショーケースを覗き込んでいました。
ミッキーのTシャツを着た二人は指輪をつけたり外したりして、はしゃいで絵に描いたような仲むつまじい夫婦でした。
奥様が真珠のネックレスを選んだところで「よくお似合いですね。記念日か何かですか?」と話しかけてみたのです。
すると旦那様がにっこり笑って言いました。
これを買ってやるのに50年かかったんだ」
老夫婦は若い頃小さなレストランを経営していたそうです。
「小さなレストランでね、 女房がアップルパイを焼くと村中から人が集まってきたもんだよ。
『これを食べないと1日がはじまらないんだ』とか言いながらパイを買って仕事に行くみんなの笑い声が好きでね」
しかしある時火事でお店が全焼してしまった。
そうです。
財産はすべて燃え尽きその心労から子どもを身ごもっていた奥様も流産してしまったと言います。
本当に何もかも失い、 1日1日を何とかしのぐような生活「何度死のうと思ったことか。
でもね、ふとテレビを見てたらディズニーのコマーシャルが流れたんだよ。
『ここに来れば、幸せになれる』ってだからそれから必死に働いて・・・
それで、今日ようやくここに来れたんだ。
火事が起こる前、女房が俺に言ってね。
『お金がたまったら真珠のネックレスがほしい』ってだから、ディズニーに来たら絶対に真珠のネックレスを買おうと思ってたんだよ」
旦那様は笑いながら話してくれました。
奥様はじっと目を閉じネックレスに手を当てながらその話を聞いていました。
そうして、口を開いたのです 。
「私は充分幸せでしたよ。50年間、一度だって後悔したことはありません。子どもはできなかったけど、 手も顔もしみだらけだけど、 でもこのネックレスに触ってると若い頃に戻ったような気分になれるの。本当にあなたと一緒に来れてよかった」
日本人にしかできない「気づかい」の習慣上田比呂志 著
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素敵な老夫婦私たち夫婦も老夫婦の様になりたい
※今日も!ええやん!より


