
九州に一人の新聞配達の少年がいました。
近所で遊んでいる子どもは、いつも彼を見たら石を投げたりしていじめました。
あるとき、石がほんとうに当たってしまいます。
すると、少年は石を投げた子どものところに行って、「おれが何か悪いことをしたか」と聞きました。
「いったい何をやっているのかと思っただけだ」
「新聞配達をしているのがわかるだろう」
「新聞配達はわかるが、なぜそんなことをしているんだ」
「お前らの家は裕福だから、ずっと遊んでいてもいいかもしれない。しかし、おれの家は貧乏だから、おれがこれをやって親を助けなきゃ生きていかれないんだ。今度、邪魔したら許さんぞ」
その気迫に負けて、石を投げた子どもは、「自分にも新聞配達をやらせてくれ」とお願いしました。
そうしたら少年は、「いい加減な気持ちでいったらおれが許さんぞ」といったそうです。
話の中の少年は、子どもなりにも責任感を持って、目標に向かってがんばっていたのでしょう。
この少年の親も、貧しくとも誠実に生きていたはず。
だからこそ、少年は自然に、「親もきちんと親の責任を果たしているから、自分も自分のやるべきことをしなければならない」と思うようになった。
これが健全な家庭というものではないでしょうか。
人は人に対してたいへん大きな影響を与えるものです。
親子であれば、親が節度を保ち、親としての行いを実践していれば、よい感性は子どもにも継承されるはずです。
また、他人同士でも、お互いに影響を及ぼし合います。
すぐに結果を求めない生き方
鍵山秀三郎 著PHP研究所
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親が本気で生きていたら、子どもも本気で生きるでしょう。
親がテレビばかりを見てダラダラしていたら、子どももダラダラするでしょう。
上司が仕事に対して一生懸命だったら、部下も一生懸命やるでしょう。
上司が隠れてサボっていたら、部下も隠れてサボるでしょう。
言ったように育つわけではありません。
やっている背中を見て育つのです。
人には人の事情があります。
あなたにもあるように、あなたの周りの人にもあります。
多くを語るより、背中で語る方が響くものです。
言われたことだけを、嫌々愚痴りながらやる人は、「依存型人材」言われなくても、楽しみながらどんどんやる人を「自立型人材」といいます。
子どもや部下を「自立型人材」に導くには、親や上司の生き方がすべて。
※魂が震える話より

