ある人が、神様と砂浜を歩く夢を見た。
後ろを振り向くと、2人分の足跡が残っていた。
しかし、人生を振り返ってあることに気づく。自分の人生の中には、ひとり分の足跡しかないところがあるのだ。
それは、その人が人生でもっともつらく、悲しいときだった。
その人は神様に尋ねた。
「どうして、あのときは一緒に歩いてくれなかったのですか?」神様は答えた。
「愛する我が子よ、私はあなたを見捨てたりはしない。そのひとり分の足跡は、あなたを背負って歩いた私の足跡だよ」
この「神様の足跡」のように人生を歩んだひとりの女性がいる。

彼女は夫と離婚し、実母が亡くなり、収入もなく、生まれたばかりの娘を抱えてどん底の生活を送っていた。
それは自殺まで考えるつらい時期だった。
暗くてせまいアパートに住み、国からの生活保護を受けながら娘の世話をし、就職するために、勉強を続ける日々。
そんな彼女の心を支えていたのは、小説を書くことだった。
娘が眠っているわずかの間、近所の小さなカフェで夢中になって原稿を書いていた。
彼女は書き上げた原稿をある出版社に送ったが、返事はNO。
ほかの出版社にも送ったが、やはり返事はNO。
それでも、彼女はあきらめなかった。
そしてやっと、ひとつの出版社からOKをもらう。
彼女の本が、ついに出版されのだ。
題名は
『ハリー・ポッターと賢者の石』
そう、彼女の名は、J・K・ローリング。
この本は出版業界の常識を打ちこわす、驚異的なベストセラーに。
200を超える国と地域で、67の言語に翻訳され、シリーズの総売上数、約4億5000万冊。
彼女の個人資産は約1000億円に。
エリザベス女王の個人資産を超えている。
