10日間

「おはようございます。埼玉県警の町田瑞名と申します。今日は突然お伺いしまして、申し訳ありません。」

「あ、はい。」
「おはようございます。息子の達弥です。」


なんて綺麗な家だろう。今まで家宅捜査や、個別訪問、いわゆる地取りなどで、
いろいろ回ったが、

あまりにも、汚い家や。まあこの位は人間が住んでいれば当たり前かなという家は沢山見てきた
でも、ここの佐々木家はまるで、モデルルーム・・・最近のモデルルームも管理が上手くいかないのか、それほど綺麗では無いところも多い。

客が見て回りそうな場所だけ掃除しているところや、何年もモデルハウスと使用してきて10年前は最先端だったであろう、デザインの内装や家具、家電。どうやって客の心をつかめとというのだろうと疑問に思うところもある。

佐々木家は、最先端とは言わないが、全ての物が今日、昨日買ってきたみたいにとても綺麗だし
むろん、誇り、チリ、など皆無だ。

スリッパなどどこかに値札でも付いていそうなほど、新しい感じを受ける。

佐々木家の家族構成は、父、佐々木侑弥 43歳IT会社社長 母美佐40歳 息子 達弥

息子達弥の塾でのクラスメート。高橋みなが昨夜。塾の帰りが遅いと心配になった両親より捜索願いが出され。

未成年で年齢も14歳女子であることから、早急に近隣各所に伝令がまわり、また、地域放送などでも呼びかけなども行った。




冷たい空気があたりを包み込んでいく。

こんなの、本コワじゃないいんだから。

額に汗がにじんで、いつのまにかギュッと握りしめた手がしびれる。

振り返った。

・・・・


何もなかった。
ふ~ため息、あんな知らせを聞いて余計なこと考えたからかな?

ちょっと、怖かった。



そのまま、夜が明けるのを部屋にある、明かりがつくものを全てつけて待った


時間は5時母が父の為の弁当と朝ごはんの支度を始めた。
父ももうすぐ、起きるだろう。

昨日の話聞いたかな?


トントン

「おはよう。達弥。」

「おはよう。父さん」

「・・・ちょっと、話できるか?」

「うん」

父さんは、もう会社にいつでも行けるみたいだ。何時に起きたのかのかな?

「昨日夜に母さんから聞いたよ。母さんは少し混乱してるみたいだったが、お前今日大丈夫か?」

「何が?」

「何がって、警察くるんだろ。父さんは仕事で急には休めないから、母さんに頼んだがあの様子だと・・・少し心配なんだよ」

「ああ・・・そうだね。僕は大丈夫。別に高橋とはそんなに仲が良かったってわけじゃないし、
それに、昨日会ったって言っても、塾でだけだから。」

「そうか。母さんはあの事があってから警察は苦手みたいだから、達弥、頼むな。」

「うん」

ポンと肩を叩かれた。部屋を出ていく父さんの背中はまだ、熱くなる時間の前なのに
じっとりと汗のシミができていた。
部屋の前に立つと、部屋の中から。

テインコン・テインコン・テインコン・・・・・テインコン

携帯からだ。

ライン・・・クラスのグループライン。塾のライン。ほかの友達。ほぼ僕の人脈・・・
多くはないけど。

鳴りやむ気配がない、ラインのお知らせ音の中に僕も紛れ込んだ。
スクロールして会話の始めに戻る。

クラスライン

{ねえ、みな死んじゃったってほんと?} 高岡由香

{わかんない・・・} 斉藤静

{えーまじなの???}  高岡由香

{なんか、塾の帰りが遅いって親が警察に連絡}
{して、それで、みなが見つかったらしい}  安岡高志

{ええええ}    田中勇次
{どうして???} 田中勇次

ああ、田中。高橋のこと気にしてたもんな・・・てか、好きだったみたいだしな。

{ほんとなの?}  田中勇次

{ほんとだよ。家にもさっき警察から電話きた}    安岡高志
{勇次のとこにも警察から、でんわきてないの?}   安岡高志


{まだ、来てないと思う}  田中勇次

{どこで見つかったの?}  斉藤静

{知らない・・・でも、明日警察が個別訪問するって}  佐々木達弥

{達弥今日、高橋みなと話してたよな?}        安岡高志

{話した}         佐々木達弥

{何はなしたんだよ}    安岡高志

高志なんか、言い方が警察みたい・・・嫌だな。

{別に、プリントを落として拾おうとして頭をぶつけた}  佐々木達弥

{それだけ}   佐々木達弥

・・・・・


それから、しばらくは、ラインのお知らせ音が途絶えた。



他の塾のグループラインも覗いてみだが、ほとんどが噂の域を超えないものだった。

ベットに横になり今日話した・・・ぶっつかった、高橋みなのことを考えた。
普通。だった。

困っても、怒っても、いなかった。普通だった。

でも、死んだ。

本当なのか。
本当は、なんかの
サプライズ???

サプライズって言葉合ってるのか?この場合・・・?でも、まだ信じられない。

だんだん不安になってきた。足元の床が無くなるような、漆黒の渦が体にまとわりつく。

午前3時。

ブーンガチャガチャ

ブーン

新聞屋が配達に来た。いつもなら、ゲームに夢中で気付かない明け方の配達のバイクの音。
なんととなく、カーテンを開けて外をみた。

薄く空が開け始めていた。この世とあの世がまだ、細い金の糸で繋がっている時間。

ペタペタ

え?

廊下?どこからかわからないが、足音だ

ペタペタ

足音だ。首筋が冷たくなって、肩が緊張する。