公園の敷地内は捜査官とマスコミでどこも混乱していた。

近所に住む人たちも野次馬となった。

ひどい雨、風は峠をこえようとしていた、湿った冷たい風が田岡に吹きつけた。半袖の腕に鳥肌が立つ

その子は、4年生だった。真っ黒い長い髪が濡れ顔にかかっていた。

うつむいた顔は蒼白で、幼い手の先の爪は剥がれていた。すべての指の爪が無かった。

シーソーにまたがった右足首に下着が残されていた。暴行されたことは、推測できた


空しかった。また、子供が犠牲となった。なぜ、こんなにも苦しいのか。胸から喉の奥にこみ上げてくる苦く、やるせない思い。

この子にどんな未来があったのだろうか・・・?毎日をどんな風に過ごしてきたのだろうか・・・?

投げ出したい気持ちとここで逃げることはできない気持ち両方が首に巻かれたロープのようにじわじわと田岡の心と体を縛り上げ、息ができない

「この近くの私立小学校の4年生、大友りりかさんです。ランドセルの中から学生証が見つかりました。」

町田の声も震えていた。事件に押しつぶされまいと声を絞り出すかのように被害者の状況を報告した。



ハンカチ

潤・・・潤・・分かったの。あなたに酷い事した人

見つけたわ。もうずっと考えてたの、警察にこのことを話して逮捕してもらうか。

ママが潤の代わりに・・・。

いいわよね。いいわよね。

ダメって言うわね。きっと、ママがそんなことしないでって。

でも・・・ママ絶対に絶対に許せないの。ごめんなさい。




ママが刺繍したウサギのハンカチ大好きだったわね。世界で一つだけの潤のハンカチだって

あんまりうまく出来なかったのにほとんど毎日、洗っては持っていたわね。


あいつ、持ってた・・・持ってた・・・持ってた・・・

一瞬の事だったけど、見たの。間違えない。

まだ、準備が整ってないの。だから、待ってね。




まだ、高橋みな殺害と同一犯とは確定していないが、田岡も町田も同じ事を考えていた。

現場になった場所は、広大な敷地の公園で夜は街灯が少ない、被害者が見つかった場所は公園内にある。遊具広場だった。

ブランコや砂場、ジャングルジム、一人で乗るシーソー、馬や犬、ウサギ、動物をかたどった乗り物だ

被害者はウサギのシーソーにまたがる格好で発見された。

今回は衣服とランドセルを身に着けていた。今は鑑識班の仕事が終わって少しでも多くの物証が手に入ることを期待したい。

「田岡さん、鑑識班だいたい終わりそうだそうです。」
町田が馴染の鑑識捜査官に聞いてきた

顔に当たる風と雨に悔しい思いがこみ上げてきた

「ああ、わかった。今回は天気が悪すぎるな・・・。」

ぽそりと呟く

「はい、出来るだけ細かく調べてるみたいです。あと、少しで私たちも中に入れます。」

「わかった。」

嫌な予感は大体当たる。長年一課にいるとそうゆう感だけは良くなる。

空しい気持ちで、靴カバーを履き白い手袋をはめた。