僕は、本当の恐怖を知る。



今までのことを全て話しても、そのことを本当に悔いても、きっとこの女は許してはくれない。

愛するものを汚され、奪われた現実は変わらない。

復讐など何の意味があるのか?なんてどうでもいいからだ。

この女に残された唯一の生きる意味は、僕に対する復讐だけだ。

だから、どんな残酷なことも何でもできる


「もう、寝てしまうの?ダメよ・・・まだ、起きなさい。」


指先に火のような痛さが襲う。

爪がはがされた、人差し指の爪だろうか・・・?

「起きた?・・・あああ、返事もう出来ないわね。静かでいいけど、物足りない気がするわね・・・」


メリッ

次は中指の爪がはがされた。

このままこの拷問が早く終わって、僕の魂が天に召されればいいのに。




右手の爪は無くなった。でも、手当された、意味がわからない?

両目も止血され手当された。

冷たいステンレスの台の上に縛られていることは変わらないが、鎮静剤だろうか、痛みが薄れていく。

良かった、終わったのか。僕は両目は無くなったけど生きて帰れるかも知れない

逃げるチャンスはきっと来るはず、まずはこの縛っている紐をほどいてそれから・・・


目が見えない分五感のそれぞれが働き出す、僕はどこにいる?

僕は、裸のようだ。身体になにも触らない下着も身につけていない。

部屋には僕が流した血の匂いと・・・フローラル?

柔軟剤の匂いかな?

ペタペタ・・・

「またね・・・」

僕はそのままそこの残された。



寒いその部屋で僕はずっと、傷を負っては手当された。

麻酔のない手術を幾度となく繰り返された。

いつの頃からか、感覚はなくなり、感情も鈍感になっていった。


真っ暗な深い海の底にいるような不思議な感覚だった。


ただ、終わりにしたかった。もう、いいだろう・・・

僕のしたことは確かにひどい、でもあの女が僕にする事よりはましだ。

だから、終わりたい・・・いっそ殺して欲しい。


また、フローラルの匂いとペタペタと足音をさせあの女が今日も僕をいたぶる・・・






「おい!聞いてるんだろ!答えろ!!!」


突然、唇に激しい痛みがした。皮膚を突き破る感覚がするブチッブチッブチ・・・

僕は叫んだ。叫び続けた。

身動ぎ、できる限りこの強行から逃げることは出来ないか考えたが、その手は容赦なく

僕の口を縫っていった。

口の中には僕自身の血の味がする。

人はあまりにも痛いことが起こるとアドレナリンが脳に放出され痛みが一時的に消えるのだと

本で読んだことがある。

自分がこんなにも、ある種冷静なのはアドレナリンのお陰なのか・・・?

「うるさい、口は縫ってしまいましょうね。」

声は女?

あの子達の母親か?

クソ!!!あの子達をどんな風にしたか、この女に話してやりたい。

お前の娘は・・・。

この僕が殺したんだ!僕が、僕がやってやったんだぞ!

「また、痛くなるを待ちましょうね。」

「もごもご・・・・???」


まだ、何かするのか???
僕は、なんでこんな目にいつだって合うんだ。

ペタペタペタ・・・。

「おい、なんだ!クソ!痛いじゃないか!離せよ」

あらんばかりの大声でペタペタと歩くほうに向かって怒鳴りまくった。

縛られた足と腕と頭を出来るだけ動かした。

段々身体の感覚が戻ってきた、動かした腕や足にステンレスの冷たい感触がする

ただ、今まで自分が知っている範囲を超えた痛みが両目にも戻ってくる

「ぐごごごごっ!!!!」

「痛いっー痛いー!!!!」

ステンレスの台はキーキーと音をたて揺れる、男はひたすら叫んでいた。

「離せーおい!コノヤロー」

ペタペタペタ

「うるさい・・・。」

「なんなだ!!俺がなにをした!!!」

目の痛みはドクドクと血管が血を運ぶたびに増していく。あまりの痛さに気が遠くなる

「ふざけるな!!やめろ!!」

言葉を選べなくなるほどに体中の神経が目に集まっているかのようだ、これから僕に何が起きるの

かが僕には分かっている。

何故かって、僕は今まで勉強してきている。人への暴力を・・・。

あの子たちに加えてきた、暴力と屈辱が頭を巡る。

僕がこんな仕打ちを受けてはならない!

「おい!お前誰かに頼まれたのか?それとも誰かの親か?」

足音が止まった。