あれから、私は昇進試験を受け、また警察学校の講習を何度も受けこの春

やっと、本庁の一課に配属になった。

田岡さんと同じ部署に。

あの事件から3年、私の刑事としての人生を変えた事件・・・いや、たぶん人生を変えた事件と

思っていいと思う。

刑事としてあまりにも無力で、無知で、もっと出来ることは無かったかと何度も考えた

増員とゆう自分の立場があの時は無性に辛かった。

そのことが自分を変えたように思う。それまでの私はそれなりの努力はしていたつもりだったし

自分なりの自信は少し位はあったと思う。

でも、苦手だった・・・。人が死ぬような事案は避けてきたように思う

私がしている仕事は刑事なんだと思い知らされた。

血生臭く、苦しく、悲しい。人が人を殺害する事の残酷さも被害者の無残な死もすべて

私の仕事の一部で避けては通れなかった。

刑事は危険な仕事だからと両親には反対されたが、私はなりたかった。

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僕の第2章がはじまる。

冷たい風が吹く中達弥は歩き始めた。暗い闇のなかへ。












ーおわりー


このタイミングに達弥自身賭けていたのかもしれない。

今までの犯罪をすべて、美佐と加藤にきせて自分は安全な一般市民になる為に。

用意周到に計画し、最後の締めくくりも完璧になるように考え抜かれた計画。

・・・少年法・・・!!!

達弥は今まだ14歳だ!!!

少年法が改正された今も14歳から1年ほどは、ほとんどの場合家裁に送られ、監察処分もしくは

最悪少年刑務所に行くことになるだろ。

結果どちらに転んでも、達弥本人に実害はほとんどない。

これほどの。重大事件18歳以上の成人とみなされる人間が起こせば、極刑は免れないはずだ。

欲望のままに起こした犯罪ならば、なおの事死刑は確定している。

複数の殺害。性的犯罪。監禁。殺害。

どれをとっても、重大事件に間違いはない。

なのに、手も足もでない。

完敗・・・。



田岡は達弥をじっと見つめた。瞳に映る少年はどこにでもいる中学生で、どこからも犯罪の匂いすらしない。

加藤は、高橋みなを殺害したかもしれないが、佐々木潤と大友りりかは、達弥の犯行だろう

被害者の年齢に大きな開きがある。

また、遺体状況も少なからず違いがある。

高橋みなの死後首をねじられた格好は力のある大人・・・加藤が行ったと考える方が自然だ。

達弥の体格は158センチ、体重は重く見積もっても50キロがいいところだろ

小柄で、やさしげな少年に小学4年生の女の子を言葉巧みに自分の意のままに操れるだろうか?


・・・達弥ならば可能。

やはり、大人の男の人に注意しなさい。とは教えられるが自分より少しだけ年上のお兄さんに

声をかけられても10歳くらいの女の子ならば警戒しないだろ。


「自分にも妹がいる」

くらいの事は言い添えればついて行くかもしれない。

そして、暗くなった公園で本性に気づく頃には手遅れになっている。



だが、なぜ初めに妹潤に手を出したのか?


嫉妬・・・?

両親の関心はすべて潤に向いていたと達弥は言っていた。

そこに自分の性的嗜好が拍車をかけたとすれば、簡単に手に入る獲物

初めから、達弥にとって妹はどうでもいい存在で、むしろ疎ましい存在だったとしたら

ただの玩具のように河川敷に捨てた事も納得がいく。

だが、母親の変貌ぶりに自分が行った犯行だとは認めたくなくなった。

母親の愛情を切望していた達弥には母親が壊れた原因が自分にあると思いたくなかった

だから、被害者家族の一員という、新たな居場所を確保したかった。



すべて、憶測の域をでない。

田岡はそのことが悔しかった。

証拠も証言も何もでてこないからだ。

だが、達弥をこのまま世に放っていいものだろうか?

性犯罪は基本的には変えられない嗜好であって、この先達弥が犯罪を犯さないとも

思えない。

一連の事件の中何一つ罪に問われることがない。


「刑事さん、僕まだ帰ったらだめですか?」

達弥が田岡に向かって言った。

田岡は、抑えがたい感情に流されそうになった。

憶測・・・限りなくクロ・・・しかし、どうにもならない相手に田岡はただうなずくしか出来なかった。

「・・・いいですよ。ただし、警察官があなたの事を見守ります。まだ、お母さんの事件が

残ってますし、お父さんも出張から戻られてないので。」

「はい、わかりました。でも、家にも帰れないんですよね。僕、どうしたらいいんですか?」


「こちらで、宿泊できるところを用意します。」

もう、何も言う事がない・・・。

椅子を立ち悠々とこの部屋から出ていく達弥を田岡は悔しく見つめるしかなかった。


ドアに手を伸ばし開ける達弥が田岡にむかって

「母の事よろしくお願いします。僕の大切な母ですから・・・。」

と頭を下げた。