昭和50年6月20日発行となっている。早島正雄氏の著書であります「よみがえる気の健康法」です。スワイソウと易筋経が詳しく紹介されている。本には千回とか書かれていますが、先ずは百回でも二百回でも、50回でも20回でも取り敢えずやってみる、実際に行動に移すことが大事ではないでしょうか?治療目的なら尚更ですね。やってみて気持ち良さを感じることが更に大事だと思います。気持ち良さが感じられたら続けられると思います。一度に千回が無理なら、数回に分けてやっても良いわけだし。工夫できると思いますね。続けていたらきっと楽しくなっていくと思いますし、体調も良くなって更に続けようと思うと思います❗

「はじめに」

スワイソウ運動は、最近中国で発案された健康法である。しかし単純な思いつきではない。この簡単な体操の背景には、中国全土の民間療法を徹底的に研究した成果がこめられている。

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なぜこの運動がそれほどまでに歓迎されているのかといえば、まず子供から老人まで誰にでもできるし、いつでもどこでもできること、さらに時間もかからないことなどがあげられる。格別に難しいものは何もないからで、ただ無心に両腕を前後に振り続けるだけの、まことに結構な健康法だからである。

第二は、中国伝来の健康法の特徴であるが、動作が簡単なわりには、百病に対して格段の治療効果があるからである。健康法が病気の治療法を兼ねるのがスワイソウ運動の特徴である。

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ところがスワイソウ運動は、治療が目的ではじめることができる健康法でもあるし、病気にかからないための健康法でもある。

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とにかくスワイソウ運動は「易筋経」を原典にしてつくられ、しかもきわめて優れた導引術に消化されている。

(中略)

しかし、そういう導引であってみても、師の特別の指導がなくとも害のない、しかも効果の優れた導引術がいくつかある。スワイソウ運動はそういうもののひとつであるし、他のものと比較しても特別学びやすく、健康法なんてもめんどうくさい、ときめこんでいる人でも、わずらわしい思いをすることなく実践できるものだと思う。


①まず上半身と両足を真っ直ぐにして、地上にしかと立つ。股を垂直に伸ばし、足指に少し力を入れて、足の爪を地下に喰い入らせるような気持ちで立つ。両足の間隔はその人の肩幅の広さに相当する。

②次両手を同方向前後に振る。後ろに振るときは少し力を用い、前に振るときは力を入れずに、惰力で自動的にかえす。振るとき、手の甲は上を向き、掌は下向き。両肘を真っ直ぐ伸ばす曲げてはいけない。眼は前方に向け、心中に雑念を生じさせてはいけない。そして、声を出さずに、心の中で数をかぞえる。

③最初は2~3百回ぐらいからはじめて、順次回数を増やしていく。最後には毎度1千回から2千回ぐらい振るようにする。時間にして約30分ぐらいである。



“上実下虚”から“上虚下実”へ転換すること、これこそ、スワイソウ運動の最も重要なポイントである。そうすることによって、邪気を追い出し、上半身のコリ、シコリ、ツカエなどをなくし、上半身、下半身ともども新鮮な“気”が正しく体内を流通するのである。
そのためには、両足を肩幅と同じくらいに開いて立ち、固くならずに動作を柔軟にして、指先に神経を集中させ、時計の振り子のように両手を振ってみよう。それを一度に千回繰り返す。そして毎日繰り返すのである。
運動の時に最も気を使いたいことは、上半身に3、下半身に7の割合で力を入れるのである。あるいは意識を集めるといってもよい。上三下七が上実下虚”から“上虚下実”に転換させる最大のポイントである。
ポイント⑯

①上半身の力を抜いてしまう。力を入れずにごく自然に両手を振るようにする。

②下半身に重心をおく。上半身の力を抜くことと対応している。どっしりと重心をさげよう。そのためには足の裏を地にしっかりつける必要があり、裸足でやらなければならない。靴下も足袋も脱ぐことである。

③頭は空中に懸(かか)けるような気持ち。

上から吊りさげられているという気持ちで、これも肩力を抜く方法である。

④口腔の筋肉をゆるやかにする。口をキッとかみしめたりしない。だらんとするわけではないが、力を入れない。

⑤胸中に一物も無し。いろいろと考えない。上半身を“虚”にもっていく。

⑥背中を引き上げ、揺り動かす。

⑦腰を運動の軸心とする。

⑧肘をあまり上方に挙げてはいけない。

⑨腕を下げる。

⑩手をオールにたとえて、空気を漕ぐような気持ちで両手を振る。

⑪臍下丹田に少し力を入れる。臍下丹田は臍の下三寸といわれるところ。実際は臍から体の内部へ三寸の奥まったところである。下腹部と考えてもよいが、この臍下丹田にやや意識を集中して運動する。

⑫内股(うちもも)のところを緊張させてはいけない。“上虚下実”で、下半身に力を集めるといっても、内股に力みが無いようにする。

⑬肝門をひっさげるようにする。

⑭かかとを重石のような気持ちで地上につける。

⑮足指の爪を地面に喰い入らせるわような気持ちを持つ。

⑯手を振るとき、手の甲は上を向け、掌は下に向ける。

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さらに手を振るとき、軽く振ることも力を入れて振ることもできる。ただ、いずれにしても、手と足の力の比例は、始終3分と7分に保たなければならない。手に力を入れたら、足の方はもっと力を入れる。つまり、“上虚下実”、“上三下七”というのはこのことをいうのである。ただ、手を振るだけで足に力を入れることを忘れてはならない。

よく間違えることがある。つまり手に力を入れて“スワイソウ”しながら、足のことをおろそかにして、脚部の力をゆるめてしまうのである。そうすると、これはうもう完全に“上実下虚”になってしまって、何の役にも立たない。

手を振る運動ということから、たいていの人は手の方ばかりに気をとられて、足の作用があるということを、さらには腰の作用もあるということを忘れてしまう。しかし、“スワイソウ”と名前がついてはいるが、本当のことをいえば、足と腰は手よりもはるかに重要なのである。

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足に力を入れるということは、どうして必要があるのだろうか。

足には湧泉穴というツボがあって、腎臓の働きを司っている。動悸や息切れのする場合、あるいは不眠症になったとき、この湧泉穴を按摩ふすれば治ってしまうし、症状は鎮静化する。足にはまた、五臓六腑を司る大小のツボがいくつもある。そのツボを活用すれば、五臓六腑の病気を治療することができる。だから、足に力をということは、“気血”の不均衡を調整することであり、、病気を治療することなのである。

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スワイソウ運動が眼疾に効くという例がもっと考えやすい。おそらく眼科医でのこの話を信用する人は何人もいないのではなかろうか。たいていの眼科医は、眼と鼻の病気すら、関連づけて治療にあたるということもしないだろう。