「長寿の秘訣 松葉健康法」を図書館から借りて来ました。著者は高嶋雄三郎さんです。

P34

「松精、腹中にあれば天地と均しく生命力尽きず」という古い医書の言葉を本書を読まれる前にご理解いただきたいものと

P37

戦後、日本に駐留していた進駐軍の経済科学局のある中佐は、日本人がゲンノショウコを胃腸薬として用い、大変効き目があるのを知り、これをアメリカにもちかえって製薬化し、一儲けをたくらんだのかどうか知らないが、さる研究所で分析させたところ、期待するものが何も出て来ないので、放り出したという話を聞いた。そういう間にもソ連の松葉が数千人の日本兵捕虜の生命を救っていたのである。

P38

東洋の自然薬の効果は神農様以来、経験の積み重ねの効果であって、生きている薬だから、人間の生きて動いている臓器に、最も適切に作用して効果をあげているのである。西洋風の化学分析による研究体系や方法で割り出せなくても、次元が異なっている自然薬の効果は、愛用している人の自然治癒力をどんどん高めて、自然に治してくれる。西洋薬のように薬の強い成分が一時的に治癒させるのではなく、後々体質改善にまで及ぼすこの治療法は、治療というよりまさに健康法なのである。

P59

仙道連の洗心坊光雲子道士がかつて私に下さった一首あり、今もって大切に座右にある。

「松の葉の袴を去りて柔らかき白きところを噛むがたのしき」

これは松葉噛みの極意なのである。松葉の茶袴をとった白いところが松葉のエッセンスなので、ここだけは食べて緑の部分はチューインガムのように噛んで、あとは吐き出すのである。


↑この洗心坊さんの書かれたものを元に私の松葉酒は作りました❗https://ameblo.jp/aikijutu/entry-12829891096.html

P73

もともとは松葉は仙人食であって長生久視(仙人になる修行法)の木餌の材料の一つであるから本来は何病に効くというより全身を軽くし老い込ませないというように働くものなので、病気に効くのはおまけと考えていいし、その意味では何病にでも効くのである。ただ、この松葉を常食としてきた仙人たちにとって、一番大切なのはその松葉を採取する時期と作法であった。

古書「枕中記」にそれについて次のように記載されている。「五、六月頃、新しく生じた松葉を三寸か四寸ぐらいの花芯もろとも採取して、陰干しにする。乾ききったら粉末にして、蜂蜜で煉(ね)って小豆大の丸剤とし、毎月一日と十五日、まだ朝日の昇らぬうちに、香を焚き心身を潔め、八十一丸を化学薬品などの混じていない、醇正な酒を以て服する。禁酒の人は勿論清水で服してかまわない。これを服すること一年ならば寿を延ばすこと十年、二年ならば二十年と言われている。肌をなめらかに、肉に力をつけようと思ったら、この丸薬にゴマを加え、神力の衰えた者は茯苓(ぶくりょう)と高麗人参とを加えて服する。必ず百病を除き、元気を盛んならしめ、五臓六腑を益し、目を明らかにし、若返って延年益寿の神験が現れる。若し陰暦七月七日の露の水で製剤すれば一層強力な効験がある。こうして製して飲む時は、古仙たちは統覚して『ここに天の神薬を頂き、この身は天の無限力と一体となり、内元気は外元気と合し、生命力のつきることがなくなる』と念じたと言う。ところでこの松葉の丸剤を飲む間は、豚肉と五辛(ニラ、ニンニク、ネギ、ラッキョウ、ハジカミ)を食べないようにしなきゃならない」

これが松葉を食べる心がまえであるが、今日のような社会環境では、なかなかそうした手間暇が得られないし、生活も山野に親しめる人は数少ないから、市販の松葉液を飲んでも効果が落ちることはない。

そうして松葉を服しても、ある病気の対処療法として服用するのではなく、行として実践するのが松葉健康法の精髄で本当の健体をかち得るのである。

P105

アルコールを使った一般的な松葉酒の作り方

赤松の新芽300グラムをよく水洗いして、付け根にある股殻をとり、鋏で三つ四つに切って、熱湯消毒した広口瓶に入れる。瓶にはホワイトリカー1.8リットル、蜂蜜1/2カップまたは氷砂糖300グラムほど加えて溶かす。松葉量は砂糖、酒で瓶の八分目ぐらい、あまり一杯詰めると松葉が発酵する時発生するガスのため、瓶が破裂することがある。瓶の栓を固く閉め、日の当たる場所に夏ならば一週間、冬ならば二十日間ぐらいおいて暖める。夜は室内の暖かい場所に入れておく。1日一回は栓を抜いて、発酵ガスを放出させる。松葉が発酵して次第に変色し、だんだん浮き上がってきたら、布で濾し、他の瓶に移して出来上がる。三~四週間で飲めるようになる。

高血圧の人は盃1~2杯を1日二回ぐらい、健康増進には毎日盃1~2杯を。不眠症の人は就寝前に飲むと効果的。

P109 酒を使わぬ松葉液

春の頃、松の木の葉先の方に、松の緑が出て来ます。4,5センチくらいに成長したものを1.8リットル瓶の1/3くらいになる程度の量をとり、水洗いして水切りしておきます。1.2リットルくらいのお湯を煮立てて氷砂糖を煮とかし、冷やしておいて完全に冷えたものを1.8リットル瓶に入れ、その中に先に洗ってある松の緑を入れて、密封して冷暗所に保存しておきますと8月頃にはできております。

P110

松葉は焼酎に漬けたり、ウイスキーに漬けますけど、あれは本当は氷砂糖を溶かしましてそこに漬けておきます。そうすると、自然と糖分がアルコール化しまして、発酵致します。

P126

松葉風呂の作り方を申し上げよう。

松の枝から採ったばかりの新鮮な松葉(花屋から購入可)を綺麗に洗い、袴をとって三つぐらいに切り布袋に入れる。その布袋を湯船に入れてお湯を沸かすと、松葉の香りも素晴らしい松葉風呂になる。松葉の量は1.8リットル瓶一杯ぐらいが適量で、三回ぐらいは使える。松葉風呂は年中良いが、特に冬は体が温まる。

松葉を浴槽にバラバラ入れると、あとが汚れるので、ガーゼなどで布袋を作るとか、古くなったストッキングを使って松葉を刻んで入れるとよい。