当会では、合氣の定義を「合氣とは、相手と接触した部位を通して、相手の身体をアンコントロール(制御不能)の状態にする技術である」としています。

 

では、どういう原理で相手の身体をアンコントロールの状態にすることが出来るのでしょうか。

 

結論から言うと、「相手の防衛システムを作動させないように接触し、防衛システムを作動させないように動かす」ことによって相手の身体をアンコントロールの状態にしている、ということです。

 

私たちの身体には、身の安全を守るための防衛システムが備わっています。

 

たとえば、転倒を防止するための姿勢制御機能や、手を引っ張られたら引っ張り返す、押されたら押し返す等の反撃機能です。

 

私たちの防衛システムは常に運用されているのですが、何か異常を感知しない限り作動することはありません。

 

防衛システムが作動するためには、何らかの異常を感知する必要があります。

 

したがって、相手の防衛システムに感知されないように接触して、相手の防衛システムに感知されないように動かすことが出来れば、相手の防衛システムを作動させずに攻撃することができます。

 

結果として、相手は抵抗したくても抵抗できずこちらのなすがままの状態になります。

 

当会では、基本稽古でこの技術の習得を目指しています。

 

 

現時点では合氣には少なくとも、もう一つ別の種類があると考えています。

 

それは相手の防衛システムに侵入して、相手の防衛システムを誤作動させることです。

 

現象としては、防衛システムが誤作動して相手が自ら崩れていきます。

 

以上が、現在当会の考える合氣の原理です。

 

 

ところで、木村達雄先生は「合氣修得への道」(旧版)の中で、「合気は人体の防御システムのスイッチを切る技術」と書いておられます。

 

「合氣とは何か?私の今の感覚では、この非物質的防御システムのスイッチを切ってしまう技術だと言えます。

 

その電源を一瞬切ってしまう技術です。

 

そうすると単なる物質的な肉体だけになるので、抵抗することができなくなるのです。

 

その上、この防御システムが消えてしまっているので、倒れる方が自然で、だから気持ちよく倒れてしまうのです。

 

合気で投げられると気持ちが良いと多くの人が言う理由はこれだと思います。

 

通常はこの非物質的システムが働いて倒れない方が自然な状態でいるのに、それに逆らって倒されるので、倒されるときに非常に嫌な感じがするのです。」

p144

 

ここで木村先生の言われる非物質的制御システムというのは、当会で言っている脳神経系の防衛システムのことではありません。

 

脳神経系の防衛システムはあくまでも物質的制御システムであって、非物質的制御システムではありません。

 

非物質的制御システムとは、肉体の次元を超えた高次元のシステムのことなのです。

 

今の私には、見当もつかない世界です。

 

目指すべきはこの次元の合氣だと思いますが、まずは防衛システムを作動させない技術の習得が最初の一歩です。

 

そして、防衛システムを作動させない技術の習得は、合気修得のための最初にして最大の壁だと考えています。