合気道S.A.に入門する前、私は中国武術を学んでいました。
中国武術の師匠は北京在住の老師で、毛沢東の文化大革命の前までは、皇帝の住む紫禁城を警護する武官の家系の方です。
日本で言うと皇宮警察に当たるのでしょうか。
プロの職業武術家の末裔です。
老師の家では、代々、幼少のころから、様々な武術の鍛錬をさせられ、動きもですが、身体自体が驚異的に練り上げられていました。
ある稽古時に、老師の身体に触れる機会がありました。
老師の身体と動きは、それまで見たもない、触れたこともない、身体と動きでした。
私は整体が出来るので、人間の身体をそれなりに知っています。
しかし、驚きました。
それまで、私の中では、日本のある武術家の方の身体が最高だったのですが、老師はその上を行っていました。
その日本の武術家の方も、まるで熊が直立歩行をするような、あり得ない身体だったのですが、老師はその身体をさらに超えていました。
私が老師直伝の発勁が出来るのは、発勁を体験させて頂いただけでなく、老師の身体と動かし方を知っているからです。
外から見ているだけでは、発勁は出来ません。
発勁の物真似が出来るだけです。
前回、合気道で大事な合気は腕力では出来ないと書きました。
実は発勁も同じで腕力では出来ない技法です。
腕力で合気技が使えないように、中国武術の発勁も腕力が邪魔をします。
そして、合気技と同様に、強い腕力があれば、発勁と呼べない腕力だけの攻撃でもそれなりに破壊力がありますから、困ってしまうのです。
発勁は打撃だけでなく、全ての動きに使える技法です。
私は、都内の坂でいきなり発進して来た車を避ける為に、宙を舞うのに発勁を使いました。
まあ、発勁で跳んだわけですね。
飛んだではないですよ。
跳んだです。
飛んでしまっては、ハリウッドのヒーロー映画になってしまいます。笑
気がつけば、正統な老師について中国武術を真剣に修練をしたおかげで、発勁が使える珍しい合気道家にはなっていますが。
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