設立したクラブの中でどのような棋戦を運営するかは、重要なポイントです。
将棋は棋力差が正直に対戦結果に反映されてしまうフェアな競技であるがゆえに、漫然とリーグ戦なりトーナメント戦を開催するのでは、毎回、勝者・敗者が固定化されてしまい、すぐに対局がつまらなくなってしまいます。放置すると出席者数の低迷を招き、せっかく設立したクラブもすぐに存続の危機に見舞われてしまいます。
棋戦運営の仕組みは会員の例会参加にある種の規制をかけることになるので(リーグ戦の順位を適正に決めるため、ある程度の出席率を会員にお願いする必要があるなど)、会員にとって制約の少なさ(熱心な方も、たまにしか出席できない方も気兼ねなく参加できること)と、強くなりたい人が望むだけ多くの対局ができることと、両方を満足できるやり方がないか、考えつづけていました。

A.駒落ち戦(段・級リーグ戦)

会員全員での相互交流にはリーグ戦が適しており、なおかつ棋力差を吸収し互角の対局を成立させるためには、駒落ちによるハンデキャップを採用したリーグ戦を設定することは必然に思えました。日本将棋連盟もとくに初級レベルの方が将棋の基本を身に着けるのに優れた方法であるとして指導対局でも駒落ちを導入していますし、安城支部でも全面的に採用されていた実績のある方式です。少人数~多人数と状況が変化しても(リーグの組み換えなどが不要で)管理作業をシンプルにできる、優れた方式と思います。
課題としては、

①ハンデキャップを適正に調整するためのフェアな棋力認定(昇・降級基準など段・級位の管理)手法の確立

②参加者数が20~30人程度以上になると勝敗表が巨大化し、誤記入しやすくなることの対策

などが考えられました。


B.平手戦(トーナメント戦)

これはどちらかというと少ない対局数で優勝者を選抜するための方式で、「多くの対局を楽しく(拮抗した対戦を期待し参加者の自由意志で)指す」目的には全く適さない方式です。集合時間も揃わないといけないですし、ひと桁ていどの出席人数、かつ棋力ばらつきも大きいケースまで想定すると、一部の有志で実施するならまだしも、公式戦として採用するのは不適切と考えました。


C.平手戦(順位戦)

トーナメント方式より多くの対局を組むことができ、かつ棋力ばらつきを考慮して A級・B級・C級・・・などと棋力別リーグを組めば、昇級・降級なども発生し、棋力向上をめざす子にとっても励みになり、楽しめるものになります。順位の決め方はプロ棋戦のやり方を参考にすれば実現できそうです。豊明支部等でも運営実績はありました。しかしこのやり方も「少人数」という状況ではうまくいきません。少人数で組めるのはせいぜい2リーグにすぎず、例会の期待出席率50%程度では例会で未対戦の相手との対局が成立する確率も低くなり、せっかく出席しても公式戦が組めない事態が多発します。この方式は最低でも1リーグ8名×4リーグ=32名 程度以上の会員がいて、全員がある程度以上の出席率を維持できないと成立できないのです。

というわけで、平手戦で公式戦を組むのはなかなか難題です。次回はひきつづき、この問題を考えていきます。