クレーム対応の専門家だからできる心理カウンセリングがあるんです。


クレーム心理カウンセラーの藍色シアンです。


クレームを言う側だって傷ついている。

そのひとつに、
クレームを言うことが出来ない。

というのがあるんだと思うんです。

そして、その心理を作ってしまった、
きっかけはなんだろうと思うと、

「分かってもらえない悲しみ」

かもしれません。

自分が文句を言っても
分かってもらえない。

その経験がクレームを言うことを
やめさせている。

傷つき、すねてしまっている、
そんな自分が心のなかにいるのかも
しれませんね。




ある日、九州の営業担当から
僕宛にメールが送られてきました。

とある大学病院の
オンコロジーのドクターが、
以前報告したクレームについて
納得出来ていないようで、
担当営業が何度訪問してもらちがあかず
こちらに助けを求めてきたらしいんです。

オンコロジーとは、婦人科での
ガンの治療を扱う分野です。

1か月前ぐらいに起きた
そのトラブル、製品の使い方が悪い
という調査結果になっていました。

とはいえ、相手はドクター、
あなたが悪いと面と向かって
言うことは難しいんです。

それなので、分かってもらえるよう
こちら側の説明不足を謝罪しつつ、
再度使い方を覚えてもらう、
そんなクレーム対応が一般的でした。

そのドクターは普段は温和なので、
トラブルの原因は取り扱いであったことを
説明したところ急に不機嫌になり
話をしなくなり、こっちの話も
聞いてくれなくなったとのこと。

それ以来、話ができない状態で、
営業も困っている様子。

クレーム対応で、一番難しいのは
相手の欲求が分かりにくいケースです。

何を満たせば、相手は満足するのか
それがわからないことが、
クレーム対応を難しくさせます。

どうやら、そのドクターは、
自分の欲求をストレートには言わない
そんな感じでした。

何度報告書を読んでも
はっきりしたことがわからない。
困ったなあ、と正直思ってました。

そして、面談の日、九州に向かい、
営業課長と担当の3人での
ドクターとの面談が始まりました。

クレーム対応の専門部署の
責任者を連れてきました。

そう紹介され、ドクターとの話が
始まります。

営業担当は話も取り合ってもらえない
そんな状態になっていたので、
話をしてもらえる状態をみて、
一安心の状態ですが、
話している僕はそうはいきません^^;

クレームの内容を確認しながら
実際にトラブルが発生した
その状況の再現を試みると、

やはり急にドクターの機嫌が
悪くなり、口調が厳しくなります。

横にいる営業担当が
おどおどしてはじめます。

もう一度、使い方を、
手術の流れの順番に当てはめて
説明しようとしたところ、
そのドクターが急に
説明に使っていた製品を
僕の手から奪い取ると、

「実際に手術をするときは
ここの臓器が障害になるから
そんな使い方はできないんだ」

と剣幕状態になってしまいました。

でも、その使い方では
同じトラブルが起きてしまいます。

その手術の方法は、そのドクターが
やり安いと思い独自に考えたものらしく、
確かに、そのままでは使えないことが
わかりました。

しかも、専門のドクターに、
手術の手技を変えて欲しいとは言えない。

その時、ふと、
製品のある部分が、従来より
少しだけ大きく開くようになると、
そのトラブルは発生しない可能性が
あることに気づいたんです。

そして、それをあえて
ドクターに伝えてみました。

「ここがもし、少し大きく開くようになると
問題なくなりますよね。」

そう言うと、ドクターの機嫌が、
霧が晴れるように明るくなり、

「そうなんだよ、それなんだ」

もう一度手術の説明をしながら、
もしそういう改良がされれば
すごく使いやすくなるんだ、

そうして欲しいんだけど、もちろん、
すぐになんてできないだろうから
しばらくは、普通のやり方でやってみる。

そう言ってくれるんです。

僕の方からも、
米国本社の製造のデザイン部門に伝えて、
改良案として提出してもらうよう
こちらとしても働きかけます。

そう伝えると、よろしく!と言って、
ドクターが僕の手を握ってくれました。

今まで悪戦苦闘してきた営業も
目が点状態、一体何が起きたか、
わからない様子でした。

きっかけは、僕が偶然みつけた、
ドクターのニーズでした。

でも、ドクターはそのニーズを、
営業には伝えることをしなかった。

それは、分かってもらえない、
話しても、分かってもらえるはずがない
そして、結局何もやってもらえない。
そんな傷ついた思いがあったのだと思えます。

それがたった一言、
そのドクターが思っていたことを
僕が伝えられたことで、

「分かってもらえた」

その気持が生まれただけで
怒りは解消し、理解あるお客様に
なってくれたのでした。

クレームについて、
自分の要望を直接言えない、
言えないことで、分かってもらえない
そして不満がつのり、悲しみは
怒りへと変わっていく。

被害者であると思いながら、
分かってもらえるはずがないという
その思いが自分を傷つけている。

傷つくことを恐れているのかも
しれないですね。

でも、その恐れが不満を大きくします。
そして、こうなります。

ほら、やっぱりわかってもらえなかった。

でも、もし相手から分かってもらえた、
その事実があるだけで、
すっと不安感がなくなり、
同時に悲しみは消えてなくなるんです。

このことを「クレームを受ける側」として
ちゃんと理解する必要はあるんでしょうね。

あの営業担当も、言ってもらえないのは
嫌がらせなんじゃないかって、
勝手に思っていた、だからこそ
コミュニケーションが上手くいかなかった。

文句があるのなら、言ってもらえるはず。
そういう思い込みが、このケースを
難しくしていたんだと思います。

「クレームが言えない人もいる」

それは分かってもらえなかったという
心の傷を持っているからかもしれない。

その視点で相手を知ろうとした時、
相手の望むものがわかってくるのかも
しれないですね。

クレームを言える人からすれば
クレームを言えない人に対して
どうして言えないのか、
理解に苦しむんでしまいます。

でも「クレームを言う側も傷つく」という
その心理の根源にある、

「分かってもらえるはずがない」

この心理を理解することで、
難しいクレーム対応もうまくできるように
なるのかもしれませんね。

「クレームが言い辛い」という
もうひとつの心理に、

「クレームを言うと嫌われるのでは?」

そんな心理もあります。
そのことについて、また次回に
書きたいと思います。




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