どこかで行った白いお寺の朝、
貸し切り。
一晩徹夜で音楽に浸った後の朝焼け。
あれだけ沢山の人に囲まれて、まるで有名ミュージシャンにでもなった様に次から次へと人が話し掛けてくれて。
そんな幻を見ていたよう。
お寺の見える敷地内では、何やら集会が行われていた。
こんな場所にいるはずがない、とでも言われるように、
突然現れた外国人は鋭い視線を浴びせられた。
祭壇は司祭だけで朝のプージャ(儀式)を行うからと分厚いカーテンが閉められ、
広いホールに1人で佇んだ。
教会のようなステンドグラスはインドの神々が。
ここは、ラーマ神を祀るお寺。
どこにいても、誰にあっても、ここに帰ってくる。
1人で立ち竦む事しか出来ないお寺の空間。
その空間には、司祭さえ存在しない。
嬉しくも、楽しくも、悲しくも、苦しくもないお寺の中。
デジャブのように、離れては、また現れる。
ふと恋しくなったのは、初めてインドに来た時以来訪れていないデリーのお寺。
ついこの間も近くを通ったのに。
いつかまた訪れる機会は有るのかな?
コンノートプレイスの、ハヌマーンのお寺も。
グルガオンの大きなシヴァ神も。
不思議と恋しくなるのは、祈りを捧げたお寺たちばかり。