日本に帰ってきて、真っ先に手元に探した本。
中山可穂の新作、男役。
中山可穂が宝塚を題材にした小説を書いたと知った時、なんとも表現し難い気持ちになりました。
手元に来てから、まずは「あとがき」を読んで、Amazonのレビューも読んで(笑)
しばらく枕もとに寝かしておいて、やっとページを開いたのが数日前。
たぶん、中山可穂の読者にとって、中山可穂の新作を読むときの緊張感は格別だと思います。
まるで、作品が目の前で、読者の反応を見逃さないように見つめて、感想を待ちわびているような。カラッカラになるまで絞りきって生み出した裸原稿を「どうだ!」と突きつけられるような。
(作者の代表作「感情教育」の中の新人作家、塁と重なるのかな)
いそいそと読み始めれば、一気にラストまで読んでしまいます。
宝塚とゆう題材に、どんな作品になるのかドキドキしましたが、読んでみればやっぱり中山可穂の書いた、中山可穂らしい世界観の作品でした。
特に小説に舞台の脚本や演出、役者の心理は、中山可穂のデビュー作品「猫背の王子」に近い世界観。
要所ことにミチルさん(猫背の王子の主人公)の影を感じた作品です。
中山可穂とゆう小説作家は、本当に筆が遅くて。
処女作の猫背の王子は19年もかかって、主人公ミチルさんを題材にした3部作が昨年完結しました。
作品がなかなか出ないお陰で、幾度となく作品を読み返すので、登場人物の姿が知り合いのように思い浮かびます。
私はインドに行く度に、中山可穂の小説を1冊だけ、哲学の本に紛れさせて持っていきます。
他に読むものが無いので、活字が寂しい時は毎晩でも繰り返し読みます。
前回は猫背の王子、その前は短編集ジゴロ。
次はどれかな。