演奏中のラケシュの指。完全にリラックスしていて優雅な美しい動き。
私の昔からのコンプレックの1つ。
手がゴツい。
一生指輪をしたくない…
と思っていた。
学生時代はソフトボールをしていて、
さらに手がグローブ化…。
骨も太いが、全体に肉厚。
繊細そうにピアノなんて弾いても絵にならない。
嫌だ嫌だ。
ところが、バンスリを始めた初日に言われた。
「厚みがあって柔らかくて素晴らしい指と唇。素質がある。」
その時は軽く喜んでいた。
が、だんだん信じなくなった。
大きなバンスリを演奏したいのに、指が短い。
指が長ければ簡単に演奏出来るのに、私の指はハンディキャップだと。
誰に「良い手」だと言われても半信半疑。
そんなある日、誰よりも正確に難解な音を奏でるビシャルの手を見せてもらうと。
意外に指が短い。
比べてみると。
私と同じ長さ!
そして、やっぱり肉厚。
彼は誰よりも指穴の大きなバンスリを演奏している。指が細いとピッタリと穴が塞がらない。だから、バンスリを練習すると、徐々に指が平たくなってくるそう。
その点、私の指はと最初から肉厚。
確かに有利かも。
10年近く練習している西洋女性に指を見せてもらう。
長くて有利だと思っていたが、華奢過ぎて穴を塞ぐのが大変そう。
長いだけじゃダメなんだね。
一般的に演奏されるE/Nバンスリには充分な私の手、本当にバンスリ向けなのかもしれない。
もちろん、手の大きな男性は、私では到底無理なBやAのバンスリを楽々と吹く。
大柄なパンジャビ出身の男性なんかは肺活量も大きくて安安と音を出す。
それも羨ましいけれど…。
上を見だしたらキリが無い。
大きな人は楽々とバンスリを吹くが、それ以上に、完全に手をリラックスした状態で巧みな音を作り出すビシャルの手。末端まで意識が行き渡って柔らかに動く指。
あの指が欲しい。
サイズは私とほぼ同じ。
まるで楽器を愛でるように。
それぞれの手を比べて、そこから生まれる音を聞く。手も楽器。
新しい生徒に興味が出る度に手を観察するのが日課。
私は、フルートも手も一流の楽器を持っている。
と、所有欲を満たされた気持ちに包まれながら練習する。
出会った楽器がバンスリで良かった。
バンスリを吹いている時は、このゴツくて丸い手が好き。