ゴンパのある村を後にして、私達はそこから3キロほど離れた集落に向かった。
いよいよロックアートの調査。
書いている現在、土地名を思い出せない。メモしたものが見当たらないので残念。
そこは、大きな敷地の小学校がある以外は、僅かばかりの民家が見当たる程度の本当に小さな集落だった。
人々の言葉は古典チベット語。
チベット仏教の聖典に使われる神の言葉。
挨拶の言葉を覚えただけで、いくらでも友達が出来た。
まずは、小学校の裏にある平野。
そこには、大きな岩に見事に描かれたロックアートがあった。
動物や人の姿を確認出来る。
まるで、歴史や美術の教科書でしか見た事のないような、古代絵画。
これは見事だと、ひとしきり観察した後、子供につかまりながら次の場所へ。
学校の隣では、広大な敷地に林檎畑が作られていた。 まだ小さな林檎の木。 ほんの数年のプロジェクトなのだそう。
フェンスを乗り越え林檎園に侵入すると、チーム全員で岩探し。
岩山で、一つ一つの岩を目視で観察して行く。
マイケルが前回の捜査ですでに見つけ出した岩から記録写真を撮る。
カラー見本を当てる、正式な方法で記録する。
次々とロックアートは見つかった。
その度に、全員で集まっては、岩に描かれた内容を審議する。
大の大人が集まっては、希望の眼差しを向けて真剣に岩に食らいつく。
それの繰り返し。
この場所では林檎園が開発中。
どこに古代の貴重な資料が隠されているか分からないこの場所で。
結果、沢山のロックアートが畑の開発の為に壊されている。
何も知らずに代々その土地に住んでいる人達には全く関係無い話しだ。
記録な歴史の資料を守りたいのは外から来た考古学者。
生きる術を見つけたいだけの土着人。
その関係を考えて、今日もマイケルは戦っている。