藪入や獄卒寝たり昼の酒
秀樹
※藪入→やぶいり
※獄卒→ごくそつ(地獄の番人)
ちょうど藪入に松鈴庵でお茶事のお仕事を頂きました。
始まってすぐ懐石が始まります。
考えていたことを実行にうつします。
ご飯を炊く羽釜の蓋をひっくり返しにしました。
そこに鯛の塩焼き五切れを盛りました。
そして本席に。
案の定すぐにお正客から
「水屋のお料理の方、話が有ります。」
ご亭主からの伝言でした。
すぐに料理服のまま
「失礼します」と
「ご主人、初めて見ましたよ。この盛り方は。
ご説明をお願いします。」
「ありがとうございます。今日は藪入です。
この日は閻魔大王さんと獄卒たちも休みです。
地獄の釜の蓋も開きます。
獄卒たちは昼酒を飲んで寝ていましたから、蓋をそっと持ってきました。」
頓知(とんち)ですね。

二度ほどいたしました。
なかなか藪入の最中に茶事をする人はいません。