◯冬の陽は畔に優しくふりゆきて
 はふりの道をとぼとぼと行く
         秀樹

※はふりの道→葬送の道
※畔→あぜ

自然薯は山の中に自然に育つ芋です。
とろろ汁を名物と謳う店も多いのですが多くは大和芋を使っています。
手の形の芋です。

自然薯は掘る作業が大変で慣れている人で日に5.6本も掘れれば上出来です。

この時期、いつも手拭いでホッカムリをして山に入るおじさんがいました。
そして各宿坊におろしていました。

私の同級生のお父さんでした。
彼女はお父さんの事をあまり語りませんでした。
 
毎日山に入り芋を掘ります。
そして帰りに酒屋で焼酎を飲んで帰ります。

ある時寒い朝、冷たくなっていました。
人は「焼酎の飲み過ぎだよね」と噂をしていました。

お弔いの行列はあたたかな冬の陽を受けて歩いて行きました。