○謡流れ一灯ともす砧かな 秀

※謡流れ→うたながれ
※砧→きぬた

昔は洗い物をするのに布を重ねて板で叩いて洗濯をするそうな

その音が哀しくもあり

ふけゆく風情を砧(きぬた)と言いました

渋谷の大学に通っていましたから
授業の合間に世田谷の砧(きぬた)公園によく遊びに行きました

秋でもまだ陽が強く 一緒に行った女性の白いブラウスの首に汗が光っていました

その光景がいつまでも目に焼き付いています

松鈴庵の裏では薪能の舞台が組まれ始めて
夜まで砧を謡う声が聞こえました