「朝鮮女」
朝鮮女(おんな)の服の紐
秋の風にや縒(よ)れたらん
街道を往くおりおりは
子供の手をば無理に引き
額顰(ひたいしか)めし汝が面(おも)ぞ
肌赤銅の乾物にて
なにを思えるその顔ぞ
――まことやわれもうらぶれし
こころに呆け見いたりけん
われを打見ていぶかりて
子供うながし去りゆけり……
軽く立ちたる埃かも
何をかわれに思えとや
軽く立ちたる埃かも
何をかわれに思えとや
この詩は詩人中原中也(1907年ー1937年)の作品である。
詩を読むのは趣味ではないが、中原中也の詩は学生の頃教科書に出ていたのを読ん
だ。少し興味を持ったのでそれから彼の詩集に目を通した記憶がある。その中にこの
「朝鮮女」の詩が載っていた。
作られたのは昭和10年(1935年)頃だそうだから、日韓併合(1910年)からかなり
経っており、関東大震災(1923年)から12年後の頃。第二次世界大戦終了(1945年
)の10年前あたりという事になる。
どういう理由で中原中也は詩にしたのか?、シュチェエーションもイマイチよくわか
らないが、当時としても在日は異質に見えたのだろうか・・・。