オンライン指導の導入リスクは
講師の力量が
保護者様に明らかになってしまうことです。
私は体験授業でも
保護者様同席で構わないという考えですが
講師たちにとっては
大いにプレッシャーがかかると思うのです。
私のシュールなギャグが
保護者ウケしないことを除けば
私の指導方針が
よくお分かりいただけると考えるからです。
保護者様の中には
塾はわかりやすい「解き方」とか
「出題されやすい」問題とか
「役に立つ情報」を得るところだとお考えになると
私の評価一気に下がるでしょう。
出題されやすい問題がここだとか
そういう情報は
全部きちんと勉強してからで十分ですし
わかりやすい解説は
多くの場合で解法の「誘導」にすぎません。
適度なわかりにくさが売りの私にとっては
私のやり方が
保護者様に支持されない危険性は
常にあるわけです。
実際に私が体験授業で
お子様をよく考えさせることができて
授業が「成功した」と考えても
保護者様には
よくわからない説明だったと
おっしゃられる場合があります。
私は解き方をどんどん指導するタイプの講師ではありませんので
そういうものが塾の指導だとイメージされる方は
良いとは思われないでしょう。
つまり、オンライン指導でも
同様に評価される可能性があるのです。
オンライン指導で
その塾の姿がはっきりとわかるかもしれません。
ただ、わかったところで
保護者様が考えられる「理想的」な塾は
どこにもないのかもしれません。
ここでも再三書いていますが
美しい講義ということでは
中学受験では予習ナビほど
信頼がおけるものはないと考えています。
資金力もありますから
どんどん改訂されていきますし
新作もできますし、
きちんとした説明が聞かれたいなら
予習ナビは良いものだと思います。
教材もどなたでも購入できます。
保護者様が
わかりやすい説明を塾に求めるなら、
予習ナビはその願いを叶えます。
しかし、それで成果が上がるかどうかは
私にはわかりません。
オンライン指導を活用する方が増えて
わかりやすい指導があるというだけでは
成果が上がるとは限らないと
多くの方が気が付かれたはずです。
わかりやすい講義で理解を深めるのは
素晴らしい学習法ですが、
意味を考えずに
解説の通りに解くだけになってしまえば
ただ誘導されているだけです。
効果の違いが視聴者次第で
オンラインの向こう側から
講師がコントロールできないところが
とてもじれったいのです。
予習ナビをはじめとするオンライン講義を
すべて否定しているのではありません。
それが学力向上のための
一つのツールに過ぎないということを
私は言いたいのです。
オンライン指導を
経験豊富な講師たち、
実績ある講師たちだけで運営するのは
現実的に無理です。
オンライン指導が
講義のクオリティを求めるものであり
保護者様の願いに応えるものであることが
必要だと考えるならば
小規模塾でオンライン指導する利点は
全くありません。
小規模の塾の強みは
個々に対応できるという「手厚さ」でしょう。
それをオンライン指導で
どのように表現するのか。
それができれば
オンライン指導は大きな価値があるでしょう。
ブランド力がない小規模塾でも
手間を授業料に転嫁できれば
生き残りは可能でしょうが、
やはり困難な気もします。
成績が上がる方法
いえ、実力が上がる方法というのは
知っている人が少数派だから
その人が優秀層に君臨できるのであり
正しい方法というのは
簡単には理解されないでしょう。
保護者様に、
塾の指導の様子が晒されて、
経験に基づいて行われる指導も
大衆ウケを狙って
変質させられるかもしれません。
晒されているからこそ
信念をもって指導にあたる。
そういう強い気持ちで
オンライン指導の在り方を
模索していきたいと思います。
つづく